映画『ダンケルク』鑑賞。戦争映画だけど人間を肯定したノーラン監督。

9月半ば、有楽町マリオンの丸の内ピカデリー1で久しぶりに映画を観ました。クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』です。ぼくは非常によかったのですが、ネットの評判はそうでもないようですね。

第二次大戦。海の町ダンケルクで英仏軍40万人の兵士が独軍に追い詰められた。若き兵士トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、絶体絶命の窮地から脱出できるのか。

空気感、色調。第一印象としてスピルバーグ監督『プライベート・ライアン』を真っ先に思い出したのですが、独軍が全く登場しないとか、R15+になるような残酷な描写がないとか(Gです)、全くの別物です。ノーラン監督は製作にあたり同作を鑑賞し、重複しないようにしたとか。道理で似て非なるものだったわけです。

撤退戦を描きながらも、鑑賞後にこれほど納得がいき、胸に迫るものがあるのはなぜでしょう。民間船で同胞救出に向かった百戦錬磨の一般人マーク・ライランス。燃料切れもくそくらえなスピットファイアのパイロット、トム・ハーディ(ドイツのメッサーシュミットといい、日本の零戦といい、戦闘機のネーミングってなぜこんなにかっこいいの?)。名もなき殉職者に対する敬意、英国民を鼓舞したチャーチルの演説。憔悴しきって生還した兵隊たちを英国民はどうやって迎えたか。

見えざる敵・ドイツ軍との死闘が悲惨なだけに、クライマックスの余韻は長く感じられました。人が人でなくなる戦争を描きながら、その壮絶なプロセスを経てもなお、最後は人は人であり続けられることを高らかにうたっているところが、他と一線を画しているのでしょう。スピットファイアが何機も出てこないとか、死に方がぬるいとか、そんな批判はほっとけです。あ、ハンス・ジマーのスコアは珍しく抑制がきいていました。

「ダンケルク」

日劇が閉館になってしまうとのことで慌てて行ってみたのですが。考えてみたら丸の内ピカデリーは松竹・東急系の劇場ですので、日劇とは無関係なんですよね。今後の東宝系映画は、東宝本社前にできる「TOHOシネマズ日比谷」に吸収されるそう。向かいに劇場のなくなった後、丸ピカは永続するでしょうか。このシネコン化の嵐、個性的な「映画館」と呼べる場所、都心に少しは残ってほしいのですが。