村上春樹のエッセイ『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』再読で発見したこと。

スコットランド旅行を計画中の身としては、必読といえる本、再読しました。どれくらい前に読んだかは忘れましたが、そのときはスコッチだのシングルモルトだの、そんな記述を読んでも、頭の中はクエスチョンマークだらけ…。だったのですが、今回の再読で、村上さんの酒飲みに対する(自身も含めての)優しさがこの上なく、静かに愉しんでいる風景まで浮かび上がってきました。

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」(村上春樹著、新潮文庫)

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」

土屋守さんが、昨日のセミナーで、このエッセイを書く…つまりはアイラ島&アイルランドに行く前の村上さんから質問を受けた、という話をしてくれました。今のように、日本でウイスキー、シングルモルトブームになる前。どちらかといえば、そこに行く日本人は酔狂な部類だったでしょう。

そんなときに出かけた村上さん、現地での感触はどうだったのでしょうか。この本、当然ながら人との交流が軸です。テイスティングのまねごとをしている身としては、ボウモア蒸溜所マネジャーの「アイラウイスキーについて、みんな細かい分析をしたがるが、いちばん最後にくるのは造り手だ」という話が痛く響きました。もちろんそうです、そうですとも(原点思考)。

ウイスキーの飲み方として、グラス(あちらはダブルかトリプルくらい普通にあるそう)の半分はストレートで、残りはちょびっと水を足すという村上さんの飲み方にもニヤリ。

大さん橋にて

村上さんの『遠い太鼓』は、ギリシャを旅した際にお供の本として最適でした。なんというか、写実的とまでは言えないのですが、旅の空気とそこに暮らす人の息吹や温もりが伝わってくるっていうのかな。阿久悠や松本隆が、感情というフィルターを通した情景的な歌詞を繰り出すように。だから、何年後に読んでも、エヴァーグリーンな心地良さがある。この本も、旅好きは共感必至の紀行文です。

土屋さんは村上さんのエピソードと並行して、ジョージ・オーウェル著「1984年」の話に触れたので、そちらも探して購入。我ながら影響されやすいですね。この話は読了後に。