ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』で認識した、宝塚版の良さ。

遡ること11月23日。シアター・クリエで『ダディ・ロング・レッグズ』観劇後、赤坂ACTシアターに移動。石丸幹二さん&安蘭けいさん主演のミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』(12月5日まで上演)を観てきました。石丸&安蘭の”スカピン”は初演を見逃したので、この再演が初観劇です。男性(男声)の混じるスカピンは、アツ(苦し)く、全体的に角張っていました。

1794年フランス革命全盛期、いわれなき理由でギロチンにかけられる貴族を救うべく暗躍した正体不明の紅はこべ団=スカーレット・ピンパーネルの活躍。そのリーダーであるパーシーを石丸さんが、かつて革命の闘士として名をはせた女優マルグリットを安蘭さんが演じます。安蘭さんは本作の宝塚初演でパーシーを演じていて、そのイメージがあまりに強すぎましたが……。夫との溝に悩む妻に違和感なく扮していたのは、さすがの貫禄です。

スカーレット・ピンパーネル 赤坂ACTシアター

パーシーは頭の回転が速い切れ者でありながら、伊達男でユーモアにたけた貴族(であり義賊ともいえるか)。さらに妻の裏切りにも悩まされる、複雑で難しいキャラクターです。こんな役をできる人は当然限られてきますよね。しかもミュージカルですから狭き門というか、才能ある歌い手にはブルーオーシャンでしょうねぇ。

石丸さんは歌唱が見事なのは言うまでもないのですが、このパーシーは正直ハマらない。石丸さんは(ご本人も同様だろうと想像しつつ)生真面目で、一直線な男の役のほうが合っている。またそういう人がたまにドラマに出て、『半沢直樹』(2013年、TBS)なんかで悪役をやるとキラリと輝きを放ち、視聴者の「あの役者さん、なんて人?」と反響があるわけですよね。

スカピンで悪役ツートップとなるショーヴランを石井一孝さんが、ロべスピエールを上原理生さんがそれぞれ演じています。石丸さんにこの2人が加わった”スカピン”は、歌唱にものすごい厚みが。宝塚版とは全く違うどころか、初めて観る演目ではと勘違いしそうなくらいです。

何かと宝塚版の過去作と比べてしまうのは申し訳ないですが、男ばかりだとなぜこう角張った舞台になるんでしょうか。宝塚版が丸みを帯びているとすれば、こちらは超マッチョな仕上がり。これはこれで悪くはないですが、今さらながら宝塚版=小池修一郎演出版が良くできているなぁと認識させられもしました。

スカーレット・ピンパーネル2017 赤坂ACTシアター