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月組『グランドホテル』、洗練された舞台は本場から呼んだ演出家の手腕の賜物。

宝塚スカイステージ

当初予定していなかったのですが、周りの評判があまりに良いので観に行ってきました。月組の新トップスター、珠城りょうさんのお披露目公演です。一部ネタばれありで振り返ります。

東京宝塚劇場 月組公演『グランドホテル』
  • 脚本:ルーサー・デイヴィス
  • 作曲・作詞:ロバート・ライト、ジョージ・フォレスト
  • 追加作曲・作詞:モーリー・イェストン
  • オリジナル演出・振付、特別監修:トミー・チューン
  • 演出:岡田敬二、生田大和
  • 翻訳:小田島雄志

月組 グランドホテル

1928年のベルリン。高級ホテルに滞在する一人の青年男爵フェリックス(珠城りょう)を中心に、余命幾ばくもない簿記係オットー(美弥るりか)、引退間際にあるバレリーナのグルーシンスカヤ(愛希れいか)とその付き人ラファエラ(暁千星)、タイピストのフラムシェン(海乃美月)らが織りなす群像劇。
※ラファエラは朝美絢、フラムシェンは早乙女わかばとの役替わり。

トニー賞を10回も取っているトミー・チューンさんを特別監修に迎えた舞台。どんなもんかいなと特に期待することもなく観たのですが、うわさ以上の素晴らしい出来にびっくり!この招聘は伊達じゃなかったね。

舞台の奥行きを生かし、組子のほとんど(=アンサンブルキャスト)が出ずっぱりのダンス(後方で「動く背景」になっている)。演技が軸となる場面での彼女たちアンサンブルは、舞台の左右に置かれた椅子に座り、傍観者となっている趣向です。役者が同時に観客の体もなす配置は故蜷川幸雄の『ハムレット』のようでもあるし、退廃的な雰囲気はボブ・フォッシー作品に通じるものがあります。1幕で希望と自信に満ち溢れて登場するフェリックスと、死の影が漂うオットーが正反対となる終幕。巧みな脚本と無駄を削ぎ落とした演出、シンプルな装置。ジェンヌによる歌ではなく「芝居で魅せる」舞台、いいじゃないですか。

こうした群像劇、どちらかといえば劇団四季向けの演目だと思う。それを宝塚歌劇が、しかもトップスターお披露目公演として持ってきたのは意外です。権利上の問題ゆえ、案の定DVD化されないとか。まぁ、それが珠城さんのスペシャル感をいっそう際立たせるともいえるのですが。

三番手以降にも注目したいので、組子の大半がアンサンブルだったり、娘役の出番が少なかったりするのは残念ではあります。が、そんな不満は捨て置けるほど、完成度が高かった。恐れ入りました。

それにしても。ヅカといえば最近は星組ばかりで他組はすっかりご無沙汰。月組はフレンチミュージカル『1789』以来の生観劇でした。ほんと食わず嫌いは良くない。珠城さんをよく知らないから、とスルーしなくて良かったです。個人的に月組では暁千星さんに注目していますが、この人も路線なのか。人気が出た途端、熱が冷めがちになる身としては、次に応援すべきジェンヌを見つけねば。

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hiroki「酒と共感の日々」

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