夏に観るにピッタリの芝居「プレイヤー」、虚構と現実の境目に混乱する。

Bunkamuraシアターコクーンで2017年8月27日まで上演中の芝居『プレイヤー』を観てきました。藤原竜也、仲村トオル、成海璃子、真飛聖などが出演。ヒジョーに薄気味の悪い、観ながら寒気を覚える物語です。8月31日から9月5日は大阪、9月9日・10日は静岡公演があります。

STORY
ある地方都市の市民劇場に集まった、さまざまなキャリアの俳優たち。彼らは今は亡き作家の遺した『PLAYER』という戯曲の稽古をしている――。
山深い小屋で無残な死体で見つかった女・天野真。真は死後、友人たちの記憶にアクセスし、彼らの口を借りてその存在を誇示しようとする。刑事・桜井(藤原竜也)は彼女の不審死に、環境保護団体代表で瞑想ワークショップ代表の時枝(仲村トオル)が絡んでいるとにらみ、追及を始める。が、時枝のカルト思想に、桜井自身が洗脳されていく。

シアターコクーン「プレイヤー」

物語は劇中劇で進行し、演出家(真飛聖)が時折リアル=稽古場に戻して、この不思議な物語を役者とともに咀嚼します。死人である天野真が自分の言葉を話すのは、友人たちの口を介して。彼ら彼女らは真の言葉を話すとき、記憶が飛んでいるんです。真に身体を乗っ取られたかのように。

演技している役者がセリフとして再現しているはずの言葉が、死人の言葉と混濁していく。そのプロセスが、観客の不穏・不安感をかき立てます。タイトルの『プレイヤー』とは演技者としてのプレイヤーであり、死人の召喚者としてのプレイヤーを指している。ぼくはそう解釈しました。

虫の知らせ、口寄せ、憑依。この芝居のセリフにこうした言葉が出てきます。科学的・論理的に説明できないこと、現実に起こりうる気がするんですよね。昔のぼくは一切信じませんでした。怖かったから。というか今でも怖がりです。ある意味、日本ならではの土着的な恐怖譚にシンパシーを感じる人なら、この芝居は楽しめるはずです。

演者は蜷川組常連という高橋努さんの役に共感。舞台上のほぼ全員が体温低めな演技を求められるなか、最も現実的な役柄を熱く演じていました。

藤原竜也さんはおなじみの舞台演技。仲村トオルさんは少しセリフが聞き取りづらかったけど、スラッとして美しく、新興宗教の指導者役がはまっていました。

峯村リエさん、木場勝己さん、真飛聖さんは声がよく通り、滑舌がいい。こうした舞台俳優がワキをがっちり固めていると安心感が違います。村川絵梨さんが唯一かわいい役柄かと思いきや、中盤にものすごく恐ろしい場面が。ここだけで持っていかれました。

前川知大さんの脚本と、長塚圭史さんの演出という完全オリジナル作品。ぼくが観た8月20日のマチネは立ち見が出るほどの盛況でした。前評判が不明なものにこれだけの人が集まるのは、主催者でもないのにいい気分。長谷川博己、大空ゆうひ、栗原英雄といった舞台俳優が観に来ていましたが、どんな感想をもったか聞いてみたかったです。