Bunkamuraシアター・コクーンで『危険な関係』を観てきました(2017年10月31日まで上演中、11月9日〜14日に大阪・森ノ宮ピロティホール)。玉木宏と鈴木京香の共演で、放蕩貴族の恋愛の駆け引きを描くドラマ。玉木宏さんの熱演とサービスシーン満載でした。貞淑な人妻を演じた野々すみ花さんも光ってます。
『危険な関係』の舞台は18世紀末のパリ上流階級。超イケメンのヴァルモン子爵(玉木宏)と、妖艶な未亡人メルトゥイユ候爵夫人(鈴木京香)のパワーゲームが描かれます。
パワーゲームとは、互いの存在価値と承認欲求を満たすための、言ってみれば「我の張り合い」です。
ヴァルモンはルックスと手練手管で、貞淑な人妻から純愛中の小娘まで次々に落としていきます。かつて付き合っていたメルトゥイユ夫人に自分の価値をもう一度認めさせるため。
メルトゥイユ夫人は元愛人への復讐心からヴァルモンを利用するのですが、いつしかヴァルモンの遊び人ぶりと、本気の恋愛に落ちていく彼への嫉妬心をたぎらせ、結果………?という次第。
演出は英ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身のリチャード・トワイマンさん。グロテスクな原作の結末をどうするのか期待していたのですが……。描き方が意外にぬるかった。
演者。玉木さんは舞台の印象があまりないですが、容姿抜群で役柄にジャストフィット。滑舌もよくてハマってました。けっこう肌を露出するシーンがあり、体を細マッチョに鍛えている印象。カーテンコールで黄色い声が飛んだのも納得です。鈴木さんは衣装がポスター通りだったら完璧でした。
この二人だけでなく、二人に翻弄されて心を揺らすトゥルヴェル法院長夫人を演じた野々すみ花さんが素晴らしい。伊達に宝塚で鍛えられてません。基礎がしっかりしていて、おまけにきれい。こういう人がいる舞台は強いです。
ラクロの同名原作(岩波文庫)は革命前の18世紀フランスが舞台で、ともすれば古くさくなりがち。現代日本建築風に仕上げた美術(舞台上に盆栽がある)がそれをかき消してました。
余談ですが、ジェンヌの柚香光さんをロビーで見かけました。原作は宝塚歌劇でも『仮面のロマネスク』というタイトルで複数上演されてますから、その縁でしょう。どういう感想を持たれたのか聞きたかったですね。