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成田三樹夫さん、唯一無二の鋭さとユーモア。

「没後30年 異端の美学――大映の成田三樹夫」神保町シアター

東京・神保町シアターで特集上映中の「没後30年 異端の美学――大映の成田三樹夫」(〜2020年11月20日)。
その作品のひとつ『出獄の盃』(1966年・大映東京、井上梅次監督)を観てきました。

こんにちは、hirokiです。
成田三樹夫(1935-1990、享年55)という俳優さんが好きでして、今日はそのことについて少し。

個人的に男女問わず、デキる人が好きなんですよね。
自分が劣等生なものですから、優秀な人に惚れてしまう。
たとえば俳優なら、俳優個人の才気だけでなく、その人が演じる役柄も大事。
デキる人間なのに、でもどこか破綻・屈折していて、生きるのが下手。
そんなキャラクターに魅了されます。

成田三樹夫という俳優はまさにその一人で、東大を中退して俳優座に入所し、1963年に大映と専属契約後は脇役や悪役として地位を確立していきます。
冒頭写真は今回の特集上映のポスタービジュアルに選ばれた『座頭市地獄旅』(1965年・大映京都)で、その鋭い目つきと存在の凄みがたまりません。

『出獄の盃』は、ヘロイン中毒で死んだ妹の仇を取るため麻薬組織に立ち向かう男(田宮二郎)と、病身の妻の医療費を稼ぐために用心棒になった男(アイ・ジョージ)の対決を描くサスペンスアクション。
ヤクザから足を洗うと誓い合った二人の悲しい宿命を描くストーリーで、成田はその二人の間に割って入る正体不明の殺し屋役。

成田さんの殺し屋ぶりは、やっぱり切れ味が鋭くて危険な雰囲気なんですが、終盤に明かされる意外な正体もあって、どこかユーモラス。
陽の田宮二郎に対して、ニヒルで洒脱で陰の魅力があるのが成田三樹夫という人なんじゃないかな。

個人的に成田三樹夫といえば、テレビドラマ『探偵物語』や『影の軍団』であり、『柳生一族の陰謀』の無敵の公家・烏丸文麿であり、あまたの東映ヤクザ映画であり。
登場場面が多くはないけど、見終わって誰が印象に残ったかという話をするなら真っ先に名前が挙がる俳優です。
敵役・悪役スターとして語られがちですが、ニヒルとかダンディとか陰影とか凄みとか、今は絶滅同然となった個性を持っていた成田さん。
スクリーンに映る成田さんを観ながら、この人の後を担えるような俳優を現在に望むべくもないなぁと思いもしました。

映画「出獄の盃」ポスター

余談ですが、井上梅次監督で鏑木創が音楽を手がけるといえば、天知茂でおなじみ土ワイの「江戸川乱歩の美女シリーズ」ですね。
ヒロイン久保菜穂子と田宮の共演場面やエンディングで、それを彷彿させるメロドラマ的な展開があり、不思議な懐かしさ(?)に襲われました。

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hiroki「酒と共感の日々」

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