弘法にも筆の誤り、と言うけど、やっぱり普段使いの仕事道具は大事でっせ。
おなじみのBARのスタッフが常連客の皆さんと一緒に、長濱蒸留所と愛知県を研修旅行したそうで。
その土産話が面白かった。
なんでも、バーテンダーが仕事に使うバーツールを製造しているメーカー「BIRDY.」さんに足を運んだとかで。
生粋のプロはこの辺が違う。
たいていは造り手への試飲中心といった飲みの研修だけど(それで十分だけどね)、それだけで終わらせない。
上の写真はバーテンダーが仕事に使うバースプーンで、よぉく見ると長さや中腹のネジネジが違うのです。
視認できますかね?
いちばん上の長いやつが、バーディ社製のもの。
どう違うの?
酔っぱらいながら聞いた感じでは、
- 背が高いので回しやすい
- 見映えがする(長さがあるほうが確かに映える)
- 腕に引っかけやすく取り回しに気を遣う、頭のフォーク形状が改善されている、など。
バースプーンひとつでも、そんな違いがあるのかと驚嘆。
所作をよく見りゃ良いのだけど、ジロジロ凝視するのも違う気がするし。
実際、プロの商売道具を少しだけ触らせてもらいました。
言われてみればなじむ気が? なるほど、わからん。
写真には撮らなかったけど、カクテルシェーカーやミキシングティンもすごぶるきれい。
これについて聞いたところを要約すると
- 従来のものと研磨の度合いが異なる影響で、カクテルの口当たりが柔らかくなる
- 回しやすく、たとえばアレキサンダーなどのクリーム系の重いカクテルを作るとき、しっくり
- ミキシングティンはガラス製ではなくステンレス製で、コンテストやイベントなど移動のときに便利
合理的にできていて、見映えもおしゃれってところがポイントなんだろうね。
その人の技術向上だけでなく、人が操る商売道具が発展していく風景、いいね。
ここまでバーテンダーが絶賛するのには、ちゃんと背景があって。
このBIRDY.ブランドを運営する横山興業株式会社(愛知県豊田市)は、プレス加工を得意とする自動車部品メーカーで、社長さんのバー好きが高じてバーツール製作に乗り出したんだとか。
自社の強みで、ご自分の好きな業界に貢献するという、なんともすてきなエピソード。
いいなぁ、妬けちゃうなぁ。