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【小説】坂口安吾『不連続殺人事件』:ロジックで読者に挑んだ本格ミステリ

坂口安吾『不連続殺人事件』

無頼で酒飲みで堕落こそ本分といえるサイコーのアニキ。ワシにとって安吾はそういう人なのだけど、推理小説作家としての才能も半端なかった。
安吾に対して勝手に抱いていた破天荒な印象がいかに浅薄か。『不連続殺人事件』(坂口安吾/新潮文庫)の巧緻な構成にやられました。
ネタバレなしで簡単に紹介します。

『不連続殺人事件』あらすじ

謎の脅迫状を受け取って震え上がる友人の歌川一馬に頼まれて、山奥の屋敷にやってきた作家の私こと矢代寸兵。その屋敷内で次々に起こる殺人事件。容疑者は一馬の友人知人、屋敷の女中や医者・看護婦など屋敷に集う28人。
この中から読者は犯人を見破れるか。

なぜ手にしたのか?

安吾作品で未読だった小説だったからで、今回ようやく読めました。
とにかく登場人物が多く、最初はずいぶん読みづらい小説だなと面食らったほど。主人公との関係性を知るために冒頭の登場人物紹介と本編を首っ引きです。
読み進めていくうちに、本作が仕掛け的な小手先のトリックを使ったものでなく、人物の純粋なやり取りと本文とで謎解きする本格ミステリと気づかされました。

節目に挿入されている附記(読者への挑戦状)がまたトボけていて、解けるもんなら解いてみな的に若干読者を煽っていくスタイル。
犯人を当てたら解決編の原稿料を差し上げますと言っており、その結果発表まで再現掲載されています。
1947年から翌年にかけて本作を連載した『日本小説』を底本にした新潮社、アッパレであります。

まとめ

ネタバレになるので所感を詳しく書けないのが残念。読後感も余計な情報になるので、未読の方のために伏せます。
ただ正直ここまで徹底してロジックで攻めてくるとは意外です。
ケレンなしの正攻法の探偵小説、この結末を知った後に再読すると全然違った感想になるんだろうな。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性