文春落語『柳家喬太郎・林家二楽の落語のらりくらり』に行ってきました(11月3日19時開演、渋谷区文化センター大和田4階さくらホール)。
前座を経て最初に上がった喬太郎さんは「親子酒」を。
禁酒を誓った大酒飲みの親子が結局は飲んでしまうストーリーでおなじみですが。
喬太郎さんのそれは、なんと親父の女房が酒好きという設定に。
女房が当てつけで飲むという、意表を突くアレンジ。
喬太郎さんは古典もかけますが、随所にオリジナルを入れるヒネリがたまりません。
紙切りの二楽さんは、入門まもないときに師匠で実父でもある二代目林家正楽さんのはからいで、ほんの少しだけ柳家さん喬さんに弟子入りしたことがあったんだそう。
落語会などで喬太郎さんとたびたび共演するのは、そんな奇縁もあってこそ。
今回、弟子で息子でもある八楽さんを高座に呼んでハサミ共演する場面も。
親子3代で紙切り芸とは……喬太郎さんが「親子酒」をかけるわけですね。
二楽さんの二席目の紙切り芝居(ストーリー紙切りというらしい)は音楽に乗せての父娘三世代の人情噺。
予め用意した紙切りの型(100枚超あったと思う)を、二楽さん本人が次から次へ、OHPに載せては下ろし。
ただ流すだけではなく、たまに同じ絵柄を用いることもあって、これを淡々と間違いなくできてしまうプロの芸ですよ。
自分ならパニクりますね。
その後トリで上がった喬太郎さんが『忠臣蔵』を鹿芝居(噺家による演劇)にしたら、どの噺家が誰を演じるのかを配役したら?というマクラ。
現役の噺家はもちろん、志ん朝さんや談志さんの名前が出てきたのが愉快。
志ん朝さんの名前が、しかも良い役で挙げてくれてちょっとうれしいし、ほんとに愛されていた方なんだなと安堵。
と、肝心の落語本題は忠臣蔵改変。
二楽さんの感動を台無しにしてしまう喬太郎がチャーミングな夜でした。