上野鈴本演芸場令和三年九月中席昼の部・千秋楽(2021年9月20日)に行ってきました。
金原亭馬玉さんが主任です。
(途中から)敬称略
粗忽長屋 白酒
粋曲 小菊
抜け雀 馬玉
馬玉さんをトリで見るのは、数年ぶりです。
年末に行われている鈴本の企画興行「年の瀬に聴く『芝浜』」以来。
そのときもでしたが、今回も馬玉さんはマクラなし。
スパッと本題に入るのが潔い。
滑舌がよく、ちょっと甲高い声が心地よいのです。
「抜け雀」は一文無しで無銭投宿した男(=実は狩野派の絵師)が、宿賃代わりに描いた絵が評判になる噺。
馬玉さんの「抜け雀」は、仕草も見もので。
宿屋の主に墨を擦らせ、絵師が衝立に雀の絵を一気に描き上げるくだりが、まぁきれい。
うまい噺家さんが演じると「景色が見えるよう」とよく言われますが、馬玉さんもまさにそう。
墨をササッと付け、絵筆でスラスラーッと滑らかに描く景色の良さったら。
雀が衝立から羽ばたいてしまう「抜け雀」って、よくよく考えればSFチックなストーリー。
ですが、そう感じさせない、ほんとにあったんじゃないかと思わせる説得力ってなんだろね。
今回ちょうど時間が空いたので滑り込みでしたが、やっぱ正解でした。
そういうニッチタイムでも来たいところです、寄席って。