宝塚観劇後の夜は三宮ではしご酒でやんす。
というわけで、一軒目はモルトバー「メインモルト」へ。
自分でも意外だったのですが、アイリッシュのパワーズ攻めと相成りました。
以下いただいた4種です。
パワーズ ゴールドラベル(POWERS GOLD LABEL) 43.2%
- 香り…ドライマンゴーやパパイヤのような南国キャラに、シナモンやクリームが乗っかる。
- 味…フルーティのひとこと。麦チョコ、バニラウエハース、後口は蜂蜜レモン。
- 総評…おなじみ3回蒸留ならではの口当たりの良さと、南国風の風が鼻孔を心地よく刺激。お手本のようなアイリッシュ。
パワーズ ゴールトラベル(POWERS GOLD LABEL) 2000年代前半流通 40%
- 香り…オーク前面。その背後にマンゴー・アラモード、カスタードクリーム。
- 味…酸味多めのフルーツ。酢豚に入ったパイナップル、カスタードプリン、三温糖。
- 総評…ひと世代前=2000年台前半に流通したゴールドラベル。よりサラッとした味わいでナチュラル。
パワーズ シグネチャーリリース(POWERS SIGNATURE Release) 46%
- 香り…フレッシュでフルーツ中心。アプリコット、焦げたバナナやトースト、秋刀魚のワタ。
- 味…ミディアムボディで若干の苦みが。ダークチョコレート、キャラメル、蜂蜜、ウスターソース。
- 総評…多面的なシングルポットスチル。アメリカンオーク樽の原酒に、1stフィルのオロロソシェリーカスクとバーボン樽の原酒を加えてバランスを取っているそう。タンニン由来と思しき苦みがアクセント。
パワーズ ジョンズレーン12年(POWERS John’s Lane Aged 12 Years) 46%
- 香り…ふくよかで心地よい。アプリコットやオレンジなどのフルーツ、ホットケーキシロップ、焦げたトーストと蜂蜜。
- 味…ひじょうに滑らかな舌ざわり。カシス、蜂蜜、キャラメル。後口はチョコレートのトフィとコーヒー。
- 総評…ジョンズ・レーンとはパワーズが最初に造られたダブリンの小さな蒸留所の名前。バーボン樽とオロロソシェリー樽原酒の組み合わせで12年熟成。夜なのにコーヒーのお供の洋菓子を突いているような。
マスターの後藤昌史さんがアイリッシュ推しで、実際店内にはアイリッシュだけで何百種類あるかわからない。
そういえばパワーズほとんど飲んだ試しがないし、せっかくなのでアイリッシュの本場ナンバーワンなブランドを、と。
ので、後藤さんに「なかでもお勧め」をお聞きして、ダーッといただいだ次第。
もちろんスコッチもジャパニーズも、バックバーはもちろん、座席背後にもボトルがびっしり、
酒好きなら至極眼福の世界がフロアに広がっています。
でも後藤さんのお人柄ゆえか、堅苦しさはなく、ざっくばらんな雰囲気。
この日は常連さんだけでなく、ぼくのほかにも東京からのお客さんが。
地元の方はもちろん、あまねくウイスキーラバーが集まるのは普通の光景なのでしょうね。
さて、パワーズ。
新ミドルトン蒸留所のジェムソンやレッドブレストは海外でもおなじみですが、同蒸留所で造られるパワーズは国内消費がメイン。
実際パワーズは「アイルランド人の魂の酒」といわれ、アイルランドではパブはもちろん、スーパーでも普通に売られているそうです。
アイリッシュのお家芸3回蒸留で、熟成はアメリカンホワイトオーク樽を下地にしています。
本国のブランドサイトを見てみると、すっかりリブランドされていますね。
ぼくがいただいたのは、ひとつ前のラベルデザインのボトルですが、このデザイン一新は海外展開もにらんでのことなのかもしれません。
ところで全然話が違うんですが……。
以前PARCO劇場で観たアイルランドの翻訳劇『海をゆく者〜The SEAFARER』(2009年日本初演・2014年日本再演、コナー・マクファーソン作)で「パワーズ」が象徴的な酒として出てくる場面が何度もあり、「飲みすぎて目が潰れる」とかなんとかなセリフを耳にしたときは、けっこう衝撃的でした。
しかしいただいたパワーズは、パワフルよりもバランスが取れた、それでいて主張どころか、むしろ内向的な魅力がありました。
まぁ要するにとっても気に入ったわけです。
@Main Malt