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星組『ディミトリ』、原作・脚本・演出・芝居すべてが噛み合った出色の出来。

『斜陽の国のルスダン』(並木陽)

大劇場で星組『ディミトリ〜曙光に散る、紫の花』、観てきました(2022年12月10日ソワレ)。
いやぁ、すごいもの見せてもらった。
もちろん素晴らしいの意です。

13世紀ジョージアを舞台に、強国の侵略に立ち向かう女王ルスダンへの愛を貫いた王配ディミトリ(女王の配偶者)の物語。

驚いたのは女王ルスダン(舞空瞳)の比重を感じたこと。
たいへん失礼を承知で言えば、ルスダンのイメージは元月組娘役トップスターの愛希れいかさんだったのです。
今回のような若さゆえの思慮の浅さと奔放さが、ストイックで抑えた役柄の似合う舞空さんとは違うな、と。

宝塚の場合は男役トップスターが前面に出てくるのは当たり前ですが、後半から舞空さんが攻めの芝居に転じたあたりから、舞空さんの色が出てきていました。
受けではなく攻めの芝居で驚きを与えるのみならず、同時に輝きも放っていました。

で、トップスター・礼真琴さん。
戦略に長け、知性と度胸と勝負勘を併せ持ち、プリンスという名にふさわしいが、よそ者扱いで疎まれる王配という難しい役どころ。
歌唱はもちろん、おそらく宝塚史上初では?というジョージアンダンスもバッチリ。

ここまで技術があるのに、堂々たるセンターなのに。
不思議と翻弄される役が似合うんだよな。
我慢に我慢を重ねて、感情を抑える演技、そして最後の潔さ。
なんたる男っぷりでしょうか。
心打たれましたよ。

生田大和先生の演出も冴えていて、銀橋を戦争の一場面に効果的に使うあたりは見事。
あまりに素晴らしかったので、後日原作をあたってみました。
原作の並木陽さんは自費出版で出した著作が、NHKのディレクターの目に留まり、ラジオドラマの脚本を手がけることに。
そこで宝塚と繋がりを持ち、ついには宝塚歌劇の原作に至るという、同人界から躍り出て人生変えたストーリーも堪らなく好きですね。
原作を読むと、生田先生が芝居向けに華やかさとドラマ性をプラスしているのが分かります。

並木さんの次回作以降も楽しみ、世界史にまつわる作品を観てみたいですね。

そうそう、今回は暁千星さんの月組から星組移籍後初となる大劇場作品。
脇役だというのに、芝居もショーも恐ろしいほどの輝きを放っていました。
すごい人が3番手に来たものです。

礼真琴さんとのコンビは俺得でしかなく、願ったり叶ったりですが、この2人によってどんな化学反応が生まれるのか、スリルでもあります。

星組公演『ディミトリ』

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hiroki「酒と共感の日々」

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