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唐組公演『動物園が消える日』。可笑しみと哀しみの両方が展開する前衛劇でした。

唐組 動物園が消える日

「芝居」か「舞台」か。演劇の呼び方って一つでないですが、唐組の作品はそのどちらともいえます。英語でいえば舞台は「ステージ」だけど、芝居は「プレイ」なんですよね。唐組の作品はまぎれもなく後者の「芝居」なんだけど、公演を行う紅テントという小屋自体が「舞台」であり「装置」でもある。これら全部含めたうえでの「芝居」という、日本でも稀有な劇団です。初日公演を観てきました。

第60回公演となる今回の『動物園が消える日』は唐十郎さん作で、初演は1993年。唐さんは現在療養中のため、ここ数年は主宰の久保井研さんが唐さんと共同演出するという形をとって、今によみがえらせています。

今回の舞台設定は場末のビジネスホテルのロビー。廃園が決まった動物園の飼育係たちが、別の人生を歩みながらも、動物たちとかつての自分の仕事への思いを募らせる物語です。

廃れ行く動物園を哀切を込めて描く……。といっても単なるロマンチックな回顧で終わるわけはなく、けっこう変なギャグや、どれが現実でどれが幻想なのか混乱させるカオスな劇でもありました。、唐さんの作品は観るたびに言葉を失うシュールさ。野田秀樹さんもそうですけど、最小限のセットで最大限の表現をする、演劇本来の姿を思い起こさせてくれます。

唐組「動物園が消える日」

今回は唐組を愛する友人と久しぶりに合流したため、打ち上げにも参加してきました。打ち上げとは終演後に同じ会場、つまり紅テントで行われ、役者兼スタッフの唐組メンバーに、車座になって感想を言えるんです。唐組のこういうところ、すごく好き。この距離の近さは昨今あり得ないです。

「ワケが分からないけど、とにかく面白い」原始の演劇を行う唐組、体験をぜひおすすめします。10月は東京の明治大学10号館裏・猿楽通り沿い特設テント、雑司ヶ谷鬼子母神。その後11月に静岡と金沢の旅公演があります。

唐組 赤テント

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hiroki「酒と共感の日々」

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