宝塚大劇場花組公演『元禄バロックロック』『The Fascination!(ザ・ファシネイション)』を観てきました(2021年12月4日マチネ)。
『元禄バロックロック』は、元赤穂藩士の時計職人クロノスケ(役名がふるってる。「黒」かと思ったら、時計のクロノグラフから取ったのね)と吉良上野介の娘(その名もキラ)のSFチックなラブストーリー。
忠臣蔵ファンタジーと冠が付けられているように、物語化され尽くした世界をどう料理するか。
作・演出の谷貴矢先生はこれが大劇場演出デビュー作だそうですが、手垢のついた古典をヒネリにひねり、うまくハッピーエンドにまとめた手腕お見事。
今的というか、今の花組的というか。
付かず離れずのじれったいラブストーリーであり、対等どころか、クロノスケがキラに追いすがり、キラが彼をぞんざいに扱う女性上位な展開。
これも柚香光と星風まどかというコンビのキャラクターゆえに成り立つものかな、と。
ともかくも、こういう明るい芝居をもっと見たいね。
しかし最もヤラレタのは徳川綱吉役を男役スターではなく、音くり寿さん(密かにファンです)を充てたこと。
娘役ちゃんという意外性だけでなく、一人称を余ではなく「ぼく」とか言わせるんだから萌え死です。
花組100年で先人へのオマージュ入ったショー『The Fascination!』(中村一徳作・演出)は、後半の「Rhapsody in Blue」が出色。
ダンスの花組の面目躍如で、ピアノ1本の演奏に乗って、各スターがソロでかつディスタンスで踊るピンと張り詰めた演出が◎。
男役の白燕尾と娘ちゃんのダルマもまたよろし。
毎回言ってますが柚香光さんは見るたびに存在がデカくなっていくなぁ、と。
同期の星組の礼真琴さんを「完成されたスター」とするなら、柚香光さんは見るたびに「成長を感じられるスター」だと思うんですよね。