2020年版の東宝ミュージカル『エリザベート』の製作発表。トート役がトリプルキャストになり、その3人目に山崎育三郎さんが起用されたとのニュースに仰天しました。帝劇版の翌年に行われる、通例の地方公演で変更などないだろうとノーマークだったのですが、まさかこんなサプライズがあろうとは。
狂気の中にユーモアを湛える狂人ルキーニ像を作り込み、そのルックスの良さと相まって、「育三郎ルキーニ」として完成されていたと思うのですが。そのイメージが定着したため、山崎育三郎さんがトートになるというのが、ちょっと想像できないんです。
『エリザベート』という芝居自体がそうですが、様式美の世界ですよね。なかでもエリザベートを死へといざなうトートは、様式美の象徴的存在でもあります。ルキーニのほうが役として自由度が高い(演じる役者のクリエイティブな面が生きる)と思うので、育三郎さんに適役・適任だったんじゃないのかなぁ。トートを演じることで山崎育三郎という個性がどう生きるか、けだし見ものです。
また、トート役のキャストスケジュールも変則で、育三郎さんは東京・帝劇公演のみ。井上芳雄さんは地方公演のみ(大阪、名古屋、博多)、前回からトート役を務めている古川雄大さんが東京と各地両方で出演という異例の試みです。スケジュール面での調整だけでなく、こうなると別の関心も出てきます。
そう、2020年の次です。トート役に井上芳雄、古川雄大、山崎育三郎という役者が3枚も揃ってしまった。ということは、トート役で「あの人」の再登板があるのかということですが。これもまぁ、成り行きを見守るのみですが、またも新陳代謝が起こるのかもしれませんね。
目に付いたキャストの変更点でいえば、育三郎さんの後釜となる皇后暗殺者ルキーニ役に尾上松也さんがカムバック。上山竜治さん、黒羽麻璃央さんについては全然知らなかったのですが、舞台のキャリアが長いようですね。前回、育三郎さんとダブルキャストを務めた成河さんは、2020年版では出演しないようです。
また、現段階でオーストリア皇太子ルドルフ役は三浦涼介さんしか発表されていませんが、こちらはシングルで突っ走るのでしょうか。出番が短いとはいえ、かなりキツいんじゃないかなと。若いから大丈夫か。
今回の発表、予期しなかった新展開があり、スルーできませんでした。2020年と、それ以降のエリザ。キャスト面でどうなるか想像もできませんが、楽しみにしたいと思います。