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2023『アンナ・カレーニナ』、宮沢りえにふさわしい舞台。

宮沢りえ版『アンナ・カレーニナ』

宮沢りえさん主演の演劇『アンナ・カレーニナ』、たいへん面白かったです(2023年3月4日18時公演、Bunkamuraシアターコクーン)。
公私ともに波乱に満ちた足跡、今なお週刊誌ネタにされてしまうほどの注目を集めている彼女が演じるにジャストフィットの作品。男女問わず人を狂わす美貌の持ち主で、狂った愛に走る人妻という役を演じさせたくなるのも分かります。

あらすじ

政府高官カレーニン(小日向文世)の美貌の妻アンナ(宮沢りえ)は、青年将校ブロンスキー(渡邊圭祐)の熱烈なアプローチに根負けして恋に落ちる。それを知ったカレーニンは嫉妬にかられるが、体面を保つため離婚に応じない。二人は生まれてきた娘とともに、祖国を捨てローマで暮らし始める。アンナの兄スティーバ(梶原善)の友人で農地改革に心血を注ぐコスチャ(浅香航大)は、スティーバの妻ドリー(大空ゆうひ)の妹キティ(土居志央梨)にプロポーズして振られるものの、再度のアタックで見事に射止める。カレーニンとの間の息子セリョージャに会えず、ブロンスキーの愛にも疑心暗鬼に苛まれたアンナは、次第に精神を蝕まれていく。

赦しの物語

上演台本・演出は、イギリス出身の演出家フィリップ・ブリーンさんで、古典からコメディまで幅広く手掛け、演劇賞レースの常連とか。今回は全キャラクターが内面を台詞で吐露する構成で、汽車の警笛音を出演者が音効さん的役目で表現したり、風船や玩具を使って心理を表したりするなど巧みな演出。
ストーリーとしては、アンナとブロンスキーが深い仲に至る描写は最低限にして、周辺人物を描き込んでいる印象。コスチャの指示に対してウオッカと引き換えに労働力を提供するくだりなど、ロシア人の交渉上手な気質が表れていて面白いです。

見ている途中でようやく、これは「赦しの物語」なんだなと気づかされました。ただひとり、アンナだけが猜疑心にまみれ、モルヒネに溺れ、病んでいく。そのほかの人物はままならない現実になんとか折り合いを付けながらやっていく。今も昔も、人間って根本は変わらないね。

キャスト

宮沢りえさんは、演技が堂々としているどころか、貫禄さえ感じさせるものが。XB列=最前列で見させてもらいましたが、間近で見る彼女はなんだか肌ツヤの光沢もあって、ノリに乗っている印象です。冷酷どころか、実は深くアンナを愛している小日向カレーニンも素晴らしい。
個人的には三谷組常連の梶原善さんと、元宝塚宙組トップスター・大空ゆうひさんの凹凸夫婦が見どころで、まさかこの二人が夫婦役で共演するとは。西尾まりさんの器用な助演もよかった。

2023『アンナ・カレーニナ』上演時間

上演時間3時間45分(休憩時間20分)の大作ですが、時間は感じさせません。
久しぶりに見ごたえのあるストレートプレイを見させてもらいました。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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