『ファントム』『グランドホテル』『NINE』などを手がけてきたモーリー・イェストン氏が、日本それも小林一茶を題材に原案・作詞・作曲した『ISSA in Paris』(2026年1月・日生劇場、2月・梅田芸術劇場メインホール、御園座)は、古典とSFが交錯する挑戦的なミュージカルです。
musical『ISSA in Paris』あらすじ
現代の東京。シンガーソングライターISSAこと海人(海宝直人)は、母親の死から立ち直れず作曲できないスランプに陥っていた。
俳人・小林一茶(岡宮来夢)の研究者でもある海人の母は、一茶の消息不明とされる「空白の10年」について、当時の鎖国をかいくぐりパリへ行っていたという仮説を立てていた。
曲のインスピレーションを得ようともがく海人は、空白の10年を突き止めるべくパリに旅立つ。
海人にとってそれは自らのレゾンデートルを探る旅でもあった。
一茶の江戸時代&革命期のパリと、現代の東京&パリがシンクロ
小林一茶と名乗る前、本名の小林弥太郎時代の空白の期間を創造するだけでも新しいのに、現代の青年を時空を超えてかかわらせる作劇(高橋知伽江さん脚本・訳詞、藤田俊太郎さん演出)が巧みです。
海人を現代における歌人とし、弥太郎は江戸の俳人。今昔をふたりのアーティストが結ぶ設定も心憎い。
プロットを作るだけで混乱しそうですが。
モーリー・イェストンさんの曲よりも、ひじょうに複雑で難しい構成に感嘆しました。
短冊を縦横に連ねてパラレルワールドを表した、美術の松井るみさんのアイデアにも圧倒されます。
渡仏した海人のガイド役で日系人振付家ルイーズ(潤花)、弥太郎が革命期のパリで出会う舞台女優テレーズ(豊原江理佳)もシンメトリーなバランスとなっていて、ありがちなラブラブとならなかったのも個人的には好感です。
下級とされた百姓や遊女が無名の弥太郎青年を応援し、船員の協力を得て密入国で渡仏した弥太郎が革命期の民衆の怒りを目の当たりにする。
いっぽうで現代のルイーズがダンサーとして自立し、デモなどに参加するくだりなどは今の時代を映す要素として必要なのだなぁと。
海宝さんは言うまでもなく、初見の岡宮さんと豊原さんが特に素晴らしかった。
完全オリジナルの日本初演で空席があったのが実にもったいない。
海外公演や再演につながるといいですね。
2026年1月20日13時開演 日生劇場

