優れた才能の持ち主(たとえば作家、演出家、美術家、俳優、アーティスト、作り手など)に出会い(その人の作風に触れ)、好きになった場合。その人の来歴を調べずにいられない性質です。ネットだの本だので、その人のことを調べ、足跡をたどります。
そうやって人物の交遊録、つながりを知る。すると、自分の好きな作品に、自分の好きな人が複数かかわっていることを発見し、「道理で」と自分が好きな理由を知る。
卑近な例(であり、昔の話)でたとえますと。渡辺美里さんの大ヒット曲「My Revolution」は、作詞を川村真澄さん、作曲を小室哲哉さんが手掛けたのは有名ですが、
◆同曲についてさらに深追いする。
・つかみから終幕まで素晴らしいアレンジ=編曲は大村雅朗さんの手によるもの
・松原正樹(ギター)や高水健司(ベース)といった当代随一のスタジオミュージシャンがレコーディングで演奏している
◆同曲の生みの親からたどる。
たとえば大村さんからたどると
・「そして僕は途方に暮れる」(大澤誉志幸)、「メイン・テーマ」(薬師丸ひろ子)、「夏の扉」(松田聖子)などの編曲も手掛けている
・これらの曲の詞をそれぞれ、銀色夏生、松本隆、三浦徳子が作った。特に松本隆さんは『作編曲家 大村雅朗の軌跡』(梶田昌史、 田渕浩久著/DU BOOKS)という本で、弟のような存在だったと語り、 「大村雅朗という名の矜持に抱かれて」という追悼文を寄稿するほど。
さらにそれらの人が世に送り出した曲や、ゆかりのアーティストを調べていく……というふうに、無限のツリーが出来上がるわけです。
こうやって、好きな人の成り立ち、ルーツをたどっていくのが快感です。その人の手掛けた音楽をかけながら、映像を見ながら、文章を読みながら。傍らにコーヒーでもあれば時間が経つのを忘れてしまいます。
そして、今日6月29日は――。これを書きながら気づきました。大村雅朗さんの21回目の命日だったのですね。こうやって後々まで名作に触れられること、名曲を聴けることに感謝です。