アマゾンジャパンが銀座にバーをオープンさせたそうで。とはいえ期間限定(2017年10月20日〜29日)とのことで、今のうちに思ったことを書いておきます(足を運んだわけではありません)。
その前に唐突ですが、バーテンダーの話を。ぼくにとってバーテンダーは、憧憬と畏敬の念を感じる職業のひとつ。酒に詳しく、客の好みやシチュエーションに応じた解を出すコンシェルジュでもあり、酒飲みの気持ちもわかる(飲まないバーテンダーもいますけど)プロフェッショナルです。
で、アマゾンバー。店頭には専用のタプレット端末が置いてあり、ビールやウイスキーなど飲みたい酒を選択後、複数の質問に答えると、おすすめの銘柄を出してくれるそう。
客の好みや気分に応じた酒を、会話を端緒に提供する。バーテンダーの腕の見せどころです。が、今回のアマゾンの出店は、これを「人間以外」でも易々とやってのけられることが分かりました。
バーの好みは確かに難しいです。「裏を返さぬは恥」と言いますが(元は廓遊びのことですが、転じて初訪のバーで接客に不満があっても再訪せよという、巷間言われる理屈)、バカ言えです。セカンドチャンスなどあり得ない。好んで二度も不快な思いをしに行くほど酔狂でないわ。
いろいろ足を運んで、着丈に合う心地のいいバー。呑助のぼくにとっては、これを探し当てるのもまた良きかな。
ですが、バーでの密接なやり取りを好まない酒飲みもいることでしょう(人それぞれ、バーに何を求めるのかにも寄りますが)。自宅飲み派のウイスキー通だって多いはず。そういう人にアマゾンバーの試みは、プラスに作用しこそすれ、マイナスにはならないでしょう。
見方によっては内向きな酒飲みの、内向性に拍車がかかるかも。そしてバーテンダーは、ますます知識、技術に磨きをかける必要がある。加えて接客も。へりくだる必要はこれっぽっちもないし、客を選んでいい。けれど選んだ客に対して心地よい接客を追求してほしいとも思う。
個性、スタイル、その心地よさ。結局それこそがAIにさせたくてもできない、バーとバーテンダー、そして客が自然に創り出すものだから。
写真はアマゾンバーとは全く無関係のスタア・バー・ギンザです。