東京国立博物館の東洋館で開かれている「中国近代絵画の巨匠『斉白石』」展(2018年10月30日~12月25日)に行ってきました。
斉白石と書いて(せいはくせき)と読みます。中国では知らない人がいないというくらい、ポピュラーな画家なのだそう。どうなんだろうと半信半疑でしたが、これは拾い物の展覧会でした。写真撮影OKなので、バンバン撮ってしまった。
斉白石(1864~1957年)さんは毛沢東や周恩来にも才能を称賛され、「人民芸術家」の称号を与えられた大家。日本では知られていませんが、中国では超ポピュラーな画家だそう。
そんなふうに聞くと、中国共産党寄りのプロパガンダ的な画風なのでは?と勘ぐってしまいそうでしたが、見てまわると、まぁチャーミングな絵ばっかり。造形美を再現する山水画も見事でしたが、僕はとりわけ人や動物、昆虫の表情が生き生きとした「動くもの」の絵に魅かれました。
それは迫力の筆致というものではなく、「精緻なのに大胆、漫画的なのにリアル」といった印象。
たとえばこちら。「雛鶏出籠図」(すうけいしゅつろうず)。竹かごからヒヨコが逃亡してるの、分かりますか? 下が、掛け軸の下部をアップにした写真です。ぷっくりしててかわいいでしょ?
こちらは筍とバッタを描いた作品。ちょっと分かりづらいですが、間近でよぉく見ると、バッタの足のうぶ毛まで描きこんであるんですよ。
かと思いきや、こちらの絵は赤い彩色で真ん中に堂々と鎮座するバッタ。サラサラサラーッと描いたのではと想像したくなる、大胆な描写です。
絵の上手い人って。たとえば山口晃画伯が思い浮かびますが、対象を細緻に描いても、省略形で描いても上手なんですよね。それでいて、どちらも同じ人が描いたと分かる不思議。コミカルなのにリアルって、いいですね。見ていてとても楽しい展覧会でした。
11月27日から後期の展示替えが行われますので、もう一度行こうと思います。特別展扱いではないため、通常の料金(大人620円)で入場できますから、あなたもぜひ。おすすめです。
それにしても土曜出勤が続くと、狭間にある休日1日にどうしても遊びの予定を詰め込むことになります。これが疲れるのですが、こうでもしないと気分が荒む一方。やはりインプットは重要。というわけで11月11日の休日ネタが続きます。