東京藝術大学大学美術館陳列館で行われた「うるしのかたち展2023」に行ってきました(2023年9月16日~同年10月1日開催)。
藝大では1889年(明治21年)に東京美術学校当時の学科の一つとして、漆芸研究室が設置されて以来、漆の専門教育を実施。
本展は教員・学生の研究成果の発表の場として、2007年から毎年行われています。
今年は25作品が展示されていて、個人的には民藝というか「用の美」をもたらすような器や盆に魅了されました。
芸術性よりは、普段使いできそうなしなやかな作品に心を奪われます。
今回の展示作品は大西長利先生、増村紀一郎先生、小椋範彦先生といった教授陣の作品がどちらかといえばそれに近く、学生たちの作品はアートな気風。
PCモニターに漆芸顔料を塗布したオブジェ、額縁の蒔絵、トルソなど、前衛的ともいえる作品の数々に革新を感じました。
展覧会の冒頭に、蒔絵や螺鈿といった漆の加飾バリエーションや、制作プロセスを紹介するパネルを一読し、その工程に気が遠くなりそうでした。
漆掻きの採取から完成に至る手間、そして技巧これらの両立だけでもすごいこと。
漆芸品か……これらを実際に普段使いで使用している人は、心豊かですね。そうありたいものです。