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帝劇「MA」、フランス革命もの&楽曲&キャスト三つ巴の鉄板パワーに打たれる。

帝国劇場で上演中のミュージカル『マリー・アントワネット』、素晴らしかったです。リーヴァイさんの楽曲とタイトルロールを演じるお花さん目当てで観ましたが、トータルでいろいろと発見があった舞台でした。

花總まり『マリー・アントワネット』

もともと2006年に日本で世界初演された作品(栗山民也演出)の「新演出版」です。その初演を観ていないので比較のしようがありません。が、キャストはほぼ一新、翻訳・訳詞の竜真知子さんが「まったく違うものになっていた」(パンフレットより)というだけに、12年ぶりの同作=新作とみていいのかもしれません。曲数も54曲(セットリストではリプライズ含め50曲)と前作比16曲増。これは歌唱のレッスンだけでも骨が折れそうです。

脚本・歌詞ミヒャエル・クンツェ、音楽・編曲シルヴェスター・リーヴァイで、題材が「王妃」とくればファンの誰もが『エリザベート』を思い浮かべますよね。だから最初はウイーン劇場協会(VBA)のオリジナルプロダクションかと思いましたが、この振り付けをしたのは東宝サイドだったんですね。

遠藤周作の原作をもとに、フランス王妃マリー・アントワネット(花總まり&笹本玲奈のダブルキャスト)と架空の女性マルグリット・アルノー(ソニン&昆夏美のダブルキャスト)の人生を交差させる。贅沢放蕩三昧の日常を過ごすマリーに対し、憎悪の炎を燃やすマルグリット。

この2人の物語を軸に、マリーとスウェーデンの貴公子・フェルセン伯爵(田代万里生&古川雄大のダブルキャスト)との恋愛、マリーを権力の座から引きずり降ろそうと民衆を扇動する政敵オルレアン公(吉原光夫)の暗躍が絡みます。

ステロタイプに貴族×民衆という対立構造をなぞるのではなく、アントワネットとイニシャルが同じもう一人の「MA」を立たせて、この時代の階層社会と人々の思いを想像しているのが面白い。

1幕は2人のマリーの出会いから一歩も譲らないにらみ合いまで、感情のぶつかり合いが前面に。「我慢などしない」と叫ぶ2人に気持ちよさすら覚えるほど。ですが、2幕になると一転してサスペンスタッチに。断頭台のシーンは分かっていても堪えるものがあります。

『ベルサイユのばら』や『1789』に見られるような革命の嵐の描写は最低限で、マリーの内面に寄ったストーリー。そのなかで首飾り事件、失敗した逃亡、裁判などの史実の要所がまとめられています。

2018年11月17日マチネ「マリー・アントワネット」キャスト

『1789』に次いでマリー・アントワネットを演じる花總さん。これくらい役にマッチする方は他にいませんな。ほんとうに年を取らないのではと思わせる普遍性(不変性)があります。涙の演技で観客だけでなく、周りのキャストも引っ張られているような、そんなパワーがあります。

驚いたのはもう一人のMAを演じたソニンさん。彼女の、時に金属的に聴こえるボーカルが多少苦手なのですが、今回は違いました。この役は「2番手」などでなく、マリー・アントワネットと双璧のもう一人の主役といっていい。ソニンさん、こんなにいい女優だったのかと気づかされました。

田代万里生さんフェルセンはまさに2.5次元的世界(『エリザベート』では花總さんと分かり合えない夫婦だったのにねぇ)、吉原光夫さんのオルレアン公はガチムチ系、役作りでおなかに何か入れているのかルイ16世役の佐藤隆紀さん。彩吹真央さん、彩乃かなみさんなどの元ジェンヌ。

エリザ組とレミゼ組がミックスしあったといえそうなキャスト陣で、メロディが複雑かつキャッチ―とは言いがたい難曲ながら、どの場面も18世紀フランスの世界へと持っていかれます。

改装工事でシートや絨毯が一新された劇場内部も気持ちよかったです。公演は帝劇の後も名古屋、大阪と年明けまで続きますが、現時点トータルで完成されている印象で、皆さんコンディションも良さそうです。12月に名古屋(御園座)公演のチケットを押さえておいて大正解でした。もう一度、この世界を味わいます。まだの方ぜひ。これからの方、期待して待っていていいですよ。

帝劇『マリー・アントワネット』

帝劇『マリー・アントワネット』ソニン

帝国劇場ロビー

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hiroki「酒と共感の日々」

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