宝塚歌劇星組全国ツアー公演『アルジェの男』『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』を見に、週末を利用して仙台に来ています(2019年5月18日マチネ)。礼真琴さんが次期星組トップスター就任発表後というだけあって、会場の仙台銀行ホール イズミティ21(キャパ1456人)は満員。公演も素晴らしい出来栄えで、新たなファン獲得といったところでしょうか。
2019年5月4日の梅田芸術劇場公演を皮切りに、広島除き東日本5か所を回るツアーで、仙台公演は後半。ということもあってか、組み立てもテンポも、もちろん演者もかなり仕上がっていました。
『アルジェの男』は第二次大戦前のアルジェリアとパリを舞台に描く、孤児から成り上がっていく青年ジュリアンの成功と破滅の物語。宝塚4度目の再演です。2011年に霧矢大夢さん率いる月組公演を生で観たのですが、宝塚でこんなに冷たく突き放したハードボイルドをやるのかと当時驚愕したものです。
名作刑事ドラマ『Gメン’75』(1975~1982年/TBS)のようでもあり、アル・パチーノの『スカーフェイス』(83年米/ブライアン・デ・パルマ監督)のようでもあり。どちらも好きな人にとってはたまらない芝居です。これを礼真琴という人で見られるんだから、もう俺得以外何物でもありません。
初演時の台本構成に戻したということですが、時代がかった文語的なせりふ回し(「辻占」なんて言わないよなぁ)とは裏腹に、かえってスピード感が加速しているかのよう。全ツだからどこか端折っているのか、それとも自分が一度観たことがあるからか。
礼真琴さんは、今までは控えめにやっていたのでは? と思わせるくらいのパワフルな歌唱とダンス。『アルジェの男』の生みの親の柴田侑宏先生をして、「何もかも巧者」と言わしめる。同期の95期生をはじめ、ライバルが出てきたら良いですね。
ショーの『ESTRELLAS(エストレージャス)』も、礼さんはメインのパートを気持ちよさそうに歌い上げています。立ち位置といい、本公演で紅ゆずるさんが演じた役のなぞり方といい、礼さんの地方公演での主演を想定していたみたいだなと勝手に得心していました。
この公演では専科から愛月ひかるさんが参加しているのですが、ショーでの客席降りの場面で、彼女が最後列まで駆けてきてお客さんとハイタッチをしていたのは、書いておかなきゃ(タッチしてもらいすっかりゴキゲン! ファンになるよね)。礼さんとのダブル歌うまコンビで、全ツなのに層が厚くなっただけでなく、このサービスですもん、忘れませんぜ。