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映画『ベルファスト』、自分や親しい人に置き換えられる物語。

直感で「きっと合うはず」と思って観に行った映画って、だいたい当たりなんだよね(年の功?)。
遅まきながら映画『ベルファスト』(原題:Belfast/2021年イギリス/ケネス・ブラナー監督)、観に行ってきました。
参った、素晴らしかった。

1960年代の北アイルランド紛争渦中のアイルランド。土地に残るか、新天地を求めるか。家族(父と母、祖母と祖父、ぼくと兄)が幸福を求めて選択する。

土着の人が故郷を棄てるときとはどんな思いなんだろう。
土地という場所的な意味だけでなくてさ。
「移住」なんて言葉が流行っているけど、そんなファッションなもんじゃない。
この映画が描いた当時のアイルランドにせよ、3.11の福島の例にしても「止むに止まれぬ」選択を迫られる人の決断は、とてつもなく、重い。
親と子、それぞれ理由があって、一家で住み慣れた街を離れざるを得なくなった……なんてことは山ほど耳にします。

絵空事ではなく、たとえばサラリーマン社会にフォーカスすると。
仮に、そこ(組織)で生え抜きとしてやってきたのに、事情から転籍を余儀なくされた。
そういうことはフツーにあるでしょ。
「卒業」だの「巣立ち」だのといった優しい言葉で片付けられるものではなく、追い詰められたうえで決断を迫られる。

この映画で描かれた、命がけの人とは比べものにならないけど、身近な物語に置き換えて考えてしまったよ。

酷い出来事や止むに止まれずの行動が重なると、ぼくなら喜怒哀楽はおろか感情がなくなる。
自暴自棄という意味ではなく、心が空洞になるんだよ。
でも、そんな中でも選択できるものなんだよね。

「答えがひとつなら紛争など起こらない」「アイルランド人は根っからの旅人だから世界中にpubがあるんだ」と主人公の少年に言葉をかける祖父役のキアラン・ハインズに最も感情移入しました。
ほぼすべてモノクロ(パートカラー)の本編、アイルランドに縁のある役者で固めたキャスティング、なによりもケネス・ブラナー監督が「パーソナルな物語」と語るような狭い日常でのストーリーが気に入りました。
主人公の少年にとっては、自宅に面したストリートと、学校との行き帰り(そして、かわいこちゃんへの恋心)が「世界のすべて」なんだよね。

遠い国の実際の出来事なんだけど、描かれているのは自分自身にも通じるような、そんな映画でした。

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Belfast (2021) – IMDb

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hiroki「酒と共感の日々」

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