コミックやゲームなどのキャラクターを起用した絵柄ラベルのボトル。最近では珍しくなくなりましたが、その奇手の先鞭をつけたのは信濃屋さんかもしれません。信濃屋といえばウイスキー業界人、愛好家なら誰もが知る存在。目利きがいるお酒の専門店ですね。
その信濃屋が東宝と組んでリリースしたゴジラとのコラボレーション・ボトルを、ハーフショットで試してみました。2019年5月31日の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の世界同時公開を記念して企画され、登場する代表的な怪獣キャラ4種に合わせて4種セットでのリリース。こういうアソビも楽しいですね。
「首尾よく4本セットで仕入れられた」と赤坂見附ですぺらの中村さんもニヤリ。飲み比べられるこちらもニンマリです。以下カギカッコは中村さんのミニ解説。
キングギドラ 信濃屋 for ゴジラ 50.7%
こちらはアイリッシュシングルモルト 1993 24年。長熟のアイリッシュ。アイリッシュウイスキーでボディが柔らかといえばプッシュミルズですが、こちらはアイリッシュ系ウイスキー本来の個性を思い起こす南国系のアロマ&フレーバー。それでいてオーバー23年ものであれば「ティーリング」でしょうか。
「エッジは立っているがノイズはない。アイリッシュウイスキーのなかでも稀なアタックの強さ。マンゴーとパッションフルーツの間くらいのニュアンスで、南国系のフレーバーがきれいに出ている」と中村さん。
ラドン 信濃屋 for ゴジラ 59.1%
あまたあるボトルから信濃屋がチョイスした、ヘブンヒル 2009 8年。コーンウイスキーです。これね、ふつうの感想になってしまうのですが、すごい長熟のバーボンを飲んでる感じ。黙って出されたらコーンウイスキーと当てられないんじゃん、と。
「樽の選び方が適切だったのだろう。コーンウイスキーにありがちなモッサリ感がない」
ゴジラ 信濃屋 for ゴジラ 51.0%
キルブライド 1989 28年です。このベーコン感がたまらない。ラフロイグのオフィシャル25年なんざ、下手すると1杯何万円の世界ですから。これはありがたいコスパ(1本31,000円、税抜)ですね。
「樽の影響が強い。昔の柑橘系のニュアンスはないが、ゴジラのキャラに合ってる。このアイラの長熟を、お手ごろ価格で体験できるのは貴重。買いだよね」
モスラ 信濃屋 for ゴジラ 52.1%
こちらはベネズエララム 2006 11年です。4杯目に飲むにはデザート的な甘やかさでうってつけ。癒されます。15,700円(税抜)とプレミアムラムとしてはコスパも優れています。
「パンペロはコク甘。(同じベネズエララムの)ディブロマティコは軽やか。香りと口当たりの良さ、お値段の良さ=パンペロ。香りの複雑さも一段上だ」
素晴らしい4杯でした。実はこの後ボーナスステージがあった(選んだ?)のですが、それはまた次回。