2017年3月にビジターセンターがオープンした宮城峡蒸留所をようやく見学してきました。ここでは蒸留所の内部をハイライトで見られるガイドツアー(所要約60分)を実施しており、土日祝日には蒸留所最寄りのJR作並駅からシャトルバスも運行。超メジャーなニッカの蒸留所が東京から行きやすい場所にあることに、今さらながら驚いてしまいました。
JR仙台駅からJR仙山線・山形行の快速電車に乗車し、約30分で作並駅着。駅から宮城峡蒸留所へは約2㎞、徒歩25分で行けます。土日祝は電車の到着時間に合わせて運行されているシャトルバスに乗って約5分。
東京ドーム4個分の敷地面積を誇る蒸留所は、その広さもさることながら景観の美しさも目を引きます。広瀬川と新川(と書いて「にっかわ」と呼ぶ。ニッカの名前と似ているのは偶然だそう)に囲まれたマイナスイオンな環境、創業者マッサンこと竹鶴政孝の思想が反映(電線の地下化、樹木の伐採は最小限に、土地の起伏を活かしてそれぞれが高さの異なる建物)された各製造棟など。イメージした以上の広大で清潔、自然環境にも胸いっぱいです。
1953年に作られたポットスチルが鎮座するビジターセンター入口を抜け、受付(氏名、予約の有無など記入)を済ませてホールで待機すること5分。ガイドツアーの始まりです。僕が参加したのは最終回でしたが、参加者は約40人とそこそこの多さ。参加は無料です。車で来所した参加者のうち、ドライバーには「お酒飲みません」のネックストラップが渡されます。
1. 蒸留所の説明映像
まずは映写室へ。約5分、蒸留所の成り立ちを説明した映像を見ます。昨今のウイスキーブームもあってか、この手の映像にも手を抜いていないのがわかります。そういえばニッカゆかりのベンネヴィス蒸留所でも映像を見せられましたが、昔の映像を使いまわしていた印象です。
2. 見学
ガイドツアーは蒸留所のガイドさんが一人ついて、蒸留所内を歩いて見て回ります。外へ出て蒸留棟(カフェ式連続式蒸留機)、乾燥棟(キルン棟)、仕込棟、蒸留棟(単式蒸留器)を順にみて回ります。残念ながら連続式のカフェ蒸留機と乾燥棟は内部非公開。乾燥棟、麦芽やトウモロコシのサイロも同様に非公開で、これらは外から眺めるのみ。
仕込棟はステンレス製の発酵槽が窓越しにのぞけるほか、職人が常時監視するコンピュータ制御の管理室も見ることができました(写真撮影は不可)。
敷地内奥がシングルモルトウイスキーを製造する単式蒸留器のある蒸留棟。バルジ型の蒸留器を5つ確認できましたが、実際は囲いで覆っている向こうに3つ、つまり計8器の蒸留器が備わっています。これらをたとえフル稼働させても需要に追いつかないわけで、いかに原酒が不足しているかを垣間見た瞬間でもありました。
その後、徒歩でビジターセンターの外側に位置する貯蔵庫(ウエアハウス)へ。ここでは1カ月・5年・12年寝かせた原酒の樽が見学者向けに用意され、それらの香りをかぐことができます。
3. 試飲
見学を終え、ビジターセンターへ。商品ラインアップを説明した映像を見せられた後、いよいよ試飲です。用意されていたのは「シングルモルト宮城峡」ブレンデッドの「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種類。いやはやアップルワインが素晴らしく、おみやげに2本も購入してしまいました。
ビジターセンターには有料試飲コーナーも充実。蒸留所限定のシングルモルトウイスキーをはじめ、宮城峡12年、アップルブランデー、余市などが数百円から体験できます。僕は宮城峡蒸留所限定の「モルティ&ソフト」「シェリー&スウィート」「フルーティ&リッチ」の3種飲み比べ1,000円を試飲。写真手前のスプーンとチビグラスは、これらを少しずつ混ぜて自分好みのブレンデッドウイスキーが試せるという趣向です。
おみやげコーナーも、もはや巷で購入困難なシングルモルト、ブレンデッドウイスキーがずらり。「宮城峡蒸留所限定2000’s 57%」(構成原酒2000~2009年)については「一人3本まで」という購入制限付き。他にも蒸留所限定のウイスキーは当然けっこうな額なのですが、それらが飛ぶように売れていて、過熱ぶりがよく分かりました。
それにしても。ウイスキーの品質と環境はイコールなのだと、ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所の初訪問で感じ入りました。また来年、ぜひ再訪したいなぁ。