ウイスキーショップの信濃屋さんがコラボレーションボトルを始めたのは、RPG“ロマサガ”こと『ロマンシング サ・ガ』のスクウェア・エニックスと組んでリリースしたのが最初のようです。シリーズ25周年を祝う、25年のウイスキーをボトリングしちゃおうという企画だったそうで、これが2015年。
以降、ラベルに絵柄を配したモルトのリリースが相次いでいます。信濃屋はこうした企画商品の売り手の草分けとして、後々まで思い出されるのかもしれません。
2016年に映画『シン・ゴジラ』の公開に合わせてリリースされたボトル2種がまだ残っているとのことで、前回の続きというかワンチャンとばかりにいただきました。赤坂見附ですぺら、店主・中村さんの解説をお聞きしつつ。
シン・ゴジラ 信濃屋 for ゴジラ 58.9%
タリスカー 2009 6年です。若いタリスカーですね。アタックでピリッとくる唐辛子のような辛さにして、テクスチャーは18年と錯覚しそうな柔らかさ。ですがアタックの強さが18年でないと分かります。飲んで辛さゆえの汗が出てくるような錯覚です。海藻、陽が照りつける公園の砂場、テトラポットのようなイメージでした、ぼくは。
「スパイシーかつラギット。本来のタリスカー。若さの爪痕がある。新参だけど舐めるなよ、っていう。もし『シン・ゴジラ』が大ヒットするとわかっていたら、違うチョイスになっていたんじゃないかな」(中村さん)
初代ゴジラ 信濃屋 for ゴジラ 57.6%
当時のオフィシャルサイト(下記リンク参照)にはヘクターマクベス 1991 24年とあります。ティースプーンモルトなので名称が異なりますが、要するにグレンフィディックですね。観葉植物、ビニールハウス、グリーンを感じます。後半にカスタードプディング。味わいはダークチョコレート、チーズ、レモンタルトなどが回遊します。余韻がひじょうに長いです。
「スペイサイドでも稀に見るドライな味わい」(中村さん)。うーむ、これはグレンブィディックの野獣版とでもいいましょうか。グレンフィディックとタリスカーという、誰もが知っているモルトを対比させる着想がユニークで面白い。
こういう企画は何度あっても歓迎。リリースのたびにあっという間に売り切れてしまいますが、運よくありつけたら機会を逃さず楽しみます。