なんとなくバーボンが飲みたくなって、「ブラントン」を飲んでみました。あまりに久しぶりすぎて、こういう感じだったっけ?と思い出せないくらい。
ロックでグラスを口につけると、ピーナッツバターを入口に、ジャムを塗ったくったトーストの香りが押し寄せます。砂糖をたっぷりかけたレーズンバターのような、奥に眠っていたフルーツブランデーのような、こってりとした味わいもたまりません。
バッファロートレース蒸留所を所有するサゼラックカンパニーは、ほかにもエンシェントエイジが有名です。ブラントンはシングルバレルでのリリースゆえ、位置づけはプレミアムバーボンです。
要するに、バーボンの中ではちょっとお高い。ぼくはこれを20代のとき、カッコつけて飲んでましたね、給料日直後に。当時一緒に働いていた先輩に連れられて入ったBARで、最初に知ったウイスキーがバーボンですから。はい、典型的なバーボン小僧ね。
バーボンという名は、米国の独立を支持したフランス・ブルボン王朝に由来します。ブルボンの英語読みですね。若い時分はそんな歴史のことなど知る由もなく……。
見た目のかっこよさと荒っぽいイメージを自分のものにすべく、無理やり喉に流し込み、「やっぱバーボンだぜ」とイキってた、青臭い時代が懐かしい。バーボンって音感がまず良いですよね。牛丼(=ぎゅうどん)のような、なんかこう、力強い響きがあります。
この、いかにもケンタッキーバーボンな風合いを醸し出す、お馬さんのキャップがまた楽しい。ブラントンのボトル一つ置いて、その周りにキャップを並べるだけで、ちょっとしたインテリアです。
なんでこう昔を振り返るかな。味なんかぜんぜん記憶の彼方なのに。そのときの出来事が思い出される不思議。お酒の魅力って、そういう足跡をたどる記憶装置でもあるのかもしれないですね。
@カドヤ黒門町スタンド