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【ネタバレあり】『オデッサ』初日:三谷幸喜さんのコメディの魔法が解けた。

三谷幸喜『オデッサ』

三谷幸喜作・演出の新作『オデッサ』初日を観てきました(2024年1月8日18時)。

これはキツい、まいったわ。
申し訳ないけど、全然面白くないです。
この記事アップは初日から5日後、未だに書く気が起こらないくらい。

どんな話か? すまん、説明する気にもならん。
相島一之さんの絶賛ツイートが参考になるので見てみて。

相島さん、『海をゆく者』上演中のPARCO劇場ロビーでお見かけしたな。やっぱ雰囲気あったわ。

(ここからネタバレ)モヤモヤの正体

登場人物の共感設定に無理がある

まず「言語の違いありき」に重きが置かれてしまい、ストーリーが浅い。

テキサスに来たバックパッカー(迫田孝也)は日本語が喋れない。
通訳(柿澤勇人)はただ同郷(鹿児島弁がポイント)というだけで、殺人の容疑者であるバックパッカーに肩入れする。
同郷で日本人同士ってだけで、見ず知らずの間柄ですよ。ぼくなら肩入れしないです。

あ、「肩入れ」とは、通訳はバックパッカーに同情するあまり、彼の自白の意思に反して、彼に有利な証言に置き換えようと勝手に訳を変えて警官(宮澤エマ)に伝えてしまうことです。
結果あべこべな会話ラリーになってしまい、話が思わぬ方向に転がっていく。
あとは三谷さんお得意のところですが、人間関係の初期設定に無理があるので、物語に入っていけなかったんですよ。

字幕で遊びすぎ

舞台では日本語と英語が飛び交うので、字幕が入ります。
本作の字幕は、前方にせり出した後方のセットをスクリーンに変幻させて投影。
会話のテンポや内容によって、字幕文字そのものにアニメのような動きをさせる趣向です。

これもアソビのひとつなのだろうけど、なんというか、フツーでよくね?
海外作品の来日公演をご覧になったことのある人なら分かるだろうけど、舞台両脇に据えた縦型縦書きのビジョンで日本語字幕を流すやつ、あれでいいじゃん。

ギミックで受けようとしないでほしいのよ。
ストーリーで勝負してください。

まとめ

初日の盛り上がりもあって、スタンディングオベーションでキャストが迎えられていて良かったですね。

でも正直、三谷さんはもう無理に演劇で新作をやらなくていいんじゃない?
東京サンシャインボーイズ時代のリバイバルをかければいいんですよ。
全盛期を知らない今のファンは喜ぶし、三谷さんは映像に専念できるしで一石二鳥。

作品によって作風を社会派に寄せるのは、まぁ良いです。
ただ、コメディについては「笑って笑って、あとは何も残らない」ような三谷さん本来のドラマツルギーに戻ってほしいーーこんな内心の叫びが虚しくこだまします。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性