映画『グレイテスト・ショーマン』、前向きな人も後ろ向きな人も高揚させる。

『NARUTO-ナルト-』の実写映画化を手掛けると報じられている、新鋭マイケル・グレイシー監督の『グレイテスト・ショーマン』、先日ようやく観ることができました。ポジティブな人にはさらなる後押しを、ネガティブな人には上を向くきっかけとなるようなミュージカル映画でした。

「顰蹙(ひんしゅく)は顰蹙は金を出しても買え」と言ったのは幻冬舎の見城徹社長ですよね。ヒュー・ジャックマン演じる本作の主人公バーナムもそんな人物。実在した興行師をモデルに、フリークスショーで一花咲かせようとする山っ気のある男の半生記です。

映画のバーナムは金儲けだけが目的ではない。彼を突き動かすものは「誰も見たことのないショーで大衆を楽しませる」という強烈な動機です。だから世間が何を言おうと、借金を背負おうとお構いなし。生きること=冒険することの彼にとって、リスクをとることなど当たり前なのです。

彼に引っ張り出されたフリークスたちは、日陰から陽の当たる世界に躍り出て、自分たちが「ありのままに、持てる才能を発揮すればいいのだ」と目覚める。保守的な演出家(ザック・エフロン)も彼に口説かれて右腕になり、新たな世界を見い出す。

実力抜群のオペラ歌手(レベッカ・ファーガソン)に出会い、そのカリスマ性と本物の芸術性には抗えず、自分のプロデュースで彼女を世界的に有名にしようとする。キッチュなもので観客を気持ちよく騙していた彼だが、自分が起用したフリークス(ひげ女のキアラ・セトルが場をさらい、ブランコ乗りのゼンデイヤがキュートな魅力を振りまく)やオペラ歌手、さらには自分の妻(ミシェル・ウィリアムズ)の気持ちにすらも寄り添えず、思わぬ形ですべてが破綻します。

ここから、まぁハリウッド映画らしい展開があるのですが、それは観てのお楽しみ。そんなストーリーはさておき、『ラ・ラ・ランド』を手掛けた作曲家コンビによる楽曲の数々に高揚感があふれます。冒頭のダンス、中盤の小屋での群舞の振り付けも見事。今的なスピード感と昔ながらのミュージカル映画の、いいとこ取りをしたかのような仕上がりでした。フリークスの描き方が甘いのはご愛嬌。

周りで観た人すべてが絶賛の映画で、正直観るのが躊躇われましたが、なるほど納得のクオリティ。生きる実感とは「好きなこと」をしてこそだろうと再確認。鑑賞しながら幾たびも共感し、そっと涙をぬぐいました。ただ、後々まで印象に残るかといえば微妙なところ。先日観た『シェイプ・オブ・ウォーター』に軍配が上がるかなぁ。

あ、アイキャッチ写真は東京国立博物館平成館で見た「押出蔵王権現像(おしだしざおうごんげんぞう)」。奈良県天川村、大峯山頂遺跡出土の国指定重要文化財です。なんか躍動している感じがかわいくてパチリ。

グレイテスト・ショーマン