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復活したスコ文研テイスティング第1回に参加。

2017年ごろまで不定期に開かれていた人気イベント「スコ文研テイスティング」が約3年ぶりに復活。
その初回に参加しました。

講師はウイスキー文化研究所の土屋守代表。
Web会議ツールのZoomで繋いで、土屋代表が解説しながら、われわれ参加者とともにテイスティングします。

今回は昨年2019年のTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)受賞ボトルを中心にテイスティングしてみよう、というテーマを持たせたそうで、テイスティングアイテムは6種類のシングルモルトウイスキー。

参加者は申し込み後に届いたサンプル小瓶と紙資料に沿って、土屋代表の解説を聴きつつ、テイスティングしていきます。
前後半各40分、途中10分休憩を挟んで行われました(第2回以降は休憩なしの模様)。

というわけで、テイスティングは下記6アイテム。
※「香り」「味」の部分は個人的所感です。

1. グレンスコシア キャンベルタウンハーバー 40%

香り…うっすらとピート。レモンクリーム、ややハチミツ、鉢植え。
味…ライトボディ。生姜や、かなり塩気の強いごま塩。

キャンベルタウンモルト。
1832年の創業後、幾多の閉鎖と再開を繰り返してきた蒸留所で、近年もオーナーが交代。
ロッホローモンドグループが買収して軌道に乗るかと思われた矢先、昨年香港の投資会社が買収し、ポートフォリオの見直しが行われた模様です。

発酵槽は最近コールテンからステンレスに切り替えられたとか。
ポットスチルは2基。
このキャンベルタウンハーバーの樽はアメリカンホワイトオーク、1stフィルのバーボンバレルによる熟成です。

かつてのスコシアはスモーキーが効いてなかったそうですが、現在はフェノール値50ppmのヘビリーピート麦芽と、25ppmのミディアムピート、ノンピート麦芽で仕込んでる模様です。

現在キンタイア半島で造られているウイスキーでピートを使うのは、スプリングバンクくらい。
このグランスコシアの麦芽はハイランドの製麦所のピートを使っているのでは?との土屋代表の見立てが印象的でした。

TWSC2019銀賞。参考価格4,000円。

2.タリスカー 18年 45.8%

香り…やや主張あり。アーモンドキャラメル、プルーンを載せたパンナコッタ、鰹節をかけた冷奴。
味…ねっとりと濃い甘さの中に、尖った塩味がひとしずく。殻付きのローストアーモンド、甘塩鮭。

アイランズモルト。
スコッチの最大手ディアジオ所有31カ所(復活したポートエレン、ブローラ含む)の蒸留所のうち、シングルモルトで最も力を入れているのが、スカイ島のタリスカーです。

1830年創業で、現在も年間300万本くらい売れているメジャーなシングルモルトです。
10年との違いは熟成年数の長さだけでなく、樽構成。

10年はアメリカンホワイトオークのリフィルホグスヘッドを使用しているのに加え、この18年はヨーロピアンオークのリフィル樽=シェリー樽の原酒を使用。
「タリスカーのピートはアイラのヨードっぽさと異なり、土っぽさ、乾いた焚き木のような特徴が出ている」という土屋代表。

この18年は、加えて特有の濃ゆい甘みが出ている複雑さが、堪えられません。
今回の6アイテムで個人的にいちばん好きなのは、このタリスカー18年です。

TWSC2019銀賞。参考価格15,000円。

3.ラガヴーリン 8年 48%

香り…やや主張あり。海苔の佃煮などの海藻、レモンピール、生姜。
味…ライトボディ。砂糖に浸けた生姜、仁丹、スペアミントガム。

アイラモルト。
1816年創業で、タリスカーと同様クラシックモルトのアイラ代表。
16年のほか、今や12年も定番品に名を連ねてます。
この8年はバイセンテナリー(200周年)の限定記念ボトルとしてリリースされたものの、好評を受けて2018年に定番化したそうです。

製麦はポートエレンで、麦芽のフェノール値は35〜38ppm。
ニューポットの段階では17〜18ppm。あえてミドルカットの幅を取っているゆえ、多少の若さが確かにあります。

ホタテの燻製のような、スモーキーピーティの中に魚介類の旨味成分がある、との土屋代表の評。

年間生産量は250万リットル。
TWSC2019銅賞。参考価格6,000円。

4. アードベッグ 10年 46%

香り…入口はやや発酵臭、その後にパイナップル、キウイ。クリームを添えた焼きバナナ。
味…ライトボディ。ナッツチョコレート(!?)、燻製卵の白身、その香りが移ったリンゴ酢。

アイラモルト。
1997年なグレンモーレンジ社が買収してから、ノンチル&ノンカラーリング仕様に。
2ndフィルのバーボンバレルをメインに樽熟が行われているそう。

アードベッグは、ポートエレン製の麦芽55ppmもの高フェノール値が、ニューポットの段階では低くなります。
ランタンヘッド型の背の高いスチルや、精留器(ピュアリファイヤー)を再留釜のラインアームに取り付けているのが大きな理由。

ラガヴーリン8年を飲んだ後では、より飲みやすくソフト。
ほどよい甘みも、いい感じです。

年間生産量は240万リットル。
TWSC2019銅賞。参考価格6,000円。

5. ポートシャーロット スコティッシュバーレイ 50%

香り…主張あり。入口はスモーク、硫黄、製菓材料のアラザン。意外にもホイップクリーム。
味…オイリー。魚醤、鰹だし。一瞬のグレープフルーツの後にショートケーキが降ってくる。

アイラモルト。
1881年創業のブルイックラディ蒸留所の製品。
ブルイックラディ以降、2005年のキルホーマンまで蒸留所は130年以上アイラに誕生してなかったわけで。
よくよく考えてみると、今のアイラ……否、世界的なスコッチの過熱はすごいことなんだよなぁ、と。

ポートシャーロットのフェノール値は40ppm。
テロワールの概念を最初にスコッチに持ち込んだ蒸留所で、スコットランド産の大麦にこだわっています。

年間麦芽使用量は1万トンで、そのうちの一部、2,000トンくらいはアイラの大麦を仕込むことが可能になっているそう。
TWSC2019未出品(出品は銀賞の10年など)。参考価格7,000円。

6. ボウモア 15年 43%

香り…やや主張あり。和室の柱、リコリス。時間が経つとピート香が効いてくる。
味…濃い。タンニンっぽい渋み、酸化したワイン。ドライフルーツの盛り合わせ。

アイラモルト。
1779年創業で、アイラ最古の蒸留所としても名高いですね。
写真のプラカップでは伝わりづらいと思いますが、色が濃いです。
バーボン樽で12年熟成後、オロロソシェリー樽で3年のウッドフィニッシュ。

今回のテイスティングでは、フィニッシュが一等長かったです。

TWSC2019銀賞。参考価格8,000円。

久しぶりにウイスキー文化研究所のイベントでした。
内容が濃いので、こうして記事としてまとめるのも時間がかかってしまいます。

また広尾でリアルイベントとしてテイスティングをやってほしいですが、このご時世ゆえ、いつになることやら。

とはいえ、ひじょうに深い知見を得られる勉強会でもありますので、もし興味のある方は参加されてみてはいかがでしょう?
ぼく個人も、「これは」というアイテムがテーマの際には出席します。

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この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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