2017帝劇『レディ・ベス』、受け入れがたい新演出。

※2014年の初演を観劇され、これから2017年再演をご覧になる方へ。以下、内容を比較していますのでご注意ください。

帝国劇場で上演中のミュージカル『レディ・ベス』(2017年10月15日マチネ)を観てきました。初演時から15分短縮したのは結構ですが、問題はそこではない。いったい誰がこの構成を決裁したのでしょう。初演の素晴らしさはどこへやら。ガラッと変えた新演出には、非常に困惑しました。

全体としては「初演の外箱はそのままにして、内容を細かく改めている」印象。いじらなくていいところをいじり、初演を踏襲してほしかった場面が削られたり、変えられたりしていました。

主な改善点=初演時より良くなった
・第1幕のテンポアップ。
・(思いつき次第記入)
・(思いつき次第記入)

主な改悪点=初演時より悪くなった
・ベスの家庭教師ロジャー・アスカムのシングルキャスト化。
・第2幕「ベスを消せ」短縮ほか、ヒールやスペイン側のキャスト出番減。
・第2幕「心は君に」削除、新曲に。ロンドンから使者が迎えに来る段以降ほぼ全改稿。

観ながら「初演からずいぶん変えてるなぁ。ま、ラストのあの高揚感と感動がまた得られればOK」と思っていたのですが。よりによって、そこをほぼ一新してしまった。

帝劇『レディ・ベス』2017

「心は君に」という、これ以上ない切ないシーンの代わりに入ったデュエット曲は、まるで心に響いてきません。戴冠式に臨むベスによる決意宣言の曲を削除し(初演のハイライト・ライヴ録音盤CDにも未収録ですが、大事な曲)、代わりにアン・ブーリンが舞台上部から歌うという変更も「?」でした。響かせ系の美声ソロを聴かせる和音美桜さんの出番が増えた(気がする)のはうれしいのですが……。あれほど素晴らしいラストをあえて変更する必要があったのか。「終わりよければすべてよし」のはずが、ラストをここまでされては。

演出の小池修一郎さんが「東宝演劇部の要請で、15分短縮した」とプログラムに寄せていました。15分短縮した理由はなんでしょう。改善のためのテンポアップか、役者の負担を減らすためか、地方から観にくるお客さんを配慮してか(加えて平日ソワレ18時開演は、会社勤務の人には相当厳しいスケジュール)。いずれにせよ、これがその答えならさびしいかぎり。観劇後「何かいいところがあったはず」と必死に巻き戻してみましたが、今に至るまで思い当てることができません(頭に浮かんだら、上に書き足します)。

あ、アスカム先生のシングルキャストを挙げたのは、初演の石丸幹二さんは望みすぎにしても、別の人で観たかったからです。初演より明らかに出番が増えている山口祐一郎さんのファンは喜んでいいと思います。が、出番を増やしたからこそダブルキャストにすべきなのです。

山口さんの負担を増やした揚げ句、一枚看板を背負わせるくらいなら、ベスの教育係アシュリー役の涼風真世さんにもう1曲ソロを持たせるとか、古川雄大さんや吉野圭吾さんなどスペイン側の役者を初演のまま生かすとか、別の選択肢はなかったのでしょうか。これほど粒ぞろいのキャストを集めながらもったいない。というよりも魅力を生かしきれていない。

11月のチケットも入手済み。もう1回見たら感想が変わるかもしれないから、11月に一縷の望みをつなげます。が、この内容と知っていれば2回も取らなかったですよ、東宝さん。今は誰かにチケットを譲りたい気分。それこそミュージカルを初めて見る人にでも。

キャスト、スタッフの皆さんは懸命に作ってくれているし、花總まりさんを応援している身として、こんなこと言いたくはなかったですが。無念やるかたないですな。

※11月13日更新:11月12日のマチネで2度目を観ました。この回は素晴らしくて、上記の演出もようやく肚落ち。感動しました(あっさり降参、上述の前言撤回です)。

『レディ・ベス』再演