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『夜叉ヶ池』、ケレン味を通り越した挑戦的な演出。

PARCO劇場『夜叉ヶ池』

2023年5月に上演されたPARCO劇場開場50周年記念シリーズ『夜叉ヶ池』、泉鏡花の戯曲に独自の世界を築いた演劇でした。ネタバレなしで振り返ります(2023年5月6日・18時公演観劇)。

あらすじ

日照りが続く村にやってきた学士の山沢(入野自由)は、一軒家に暮らす娘・百合(瀧内公美)に、自分が旅する理由を語りだす。旅の途中で行方不明になった旧友の萩原(勝地涼)を探しているという。百合の夫こそ萩原だった。
萩原は村にある鐘のつき人として暮らしていた。この村には日に2回、鐘を鳴らすことが龍神と人間の契りで、これを止めると洪水が襲ってくるという伝説があった。
村のほど近くにある夜叉ヶ池では、白雪(那須凛)という龍神が、恋焦がれている男のいる剣ヶ峰に行こうと悶えていた。白雪は思いを遂げるため、辺り一帯に洪水を引き起こそうとするが……。

途中まで、芝居の行く末がどうなるかと

がしかし、結論、素晴らしかったのです。舞台は大正初期の岐阜県と福井県の県境。言い伝えや契り、村社会や因習が描かれ、これらは地方の閉鎖性が話題になる今の時代にも通じます。芝居として見ると、重い話でも飲み込めるから不思議。

ケレン味を通り越して挑戦的な森新太郎さんの演出も良く、特に後半から終幕まではあっという間。勝地涼さんがヅラを外す前半とか、中盤の物怪が奇っ怪な言動で集ってくる場面とか、正直「これはどうしたものか」と固唾を飲んだけど(振付は森山開次さん)、最後は付いていく価値があったと妙に腑に落ちました。

演者では白雪を演じた那須凛さんにクギ付け。激情をダンスで表す場面は、どこか柚希礼音さんの舞台を想起させるものが。後半のキャストの早替えもおどろきでした。

やっぱり観ずには語れない

告白すると観に行くつもりはなかったのですが、思いのほか拾い物の作品でした。映画や演劇、落語その他ライブエンタメにおいて「期待以上の体験」が理想的なんだけど、「全く期待していなかったもの、関心のなかったものに出会って衝撃を受けた体験」が最もうれしい瞬間ですな。
選り好みせずに足を運ばないと、ね。

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