東京藝術大学大学美術館で開催中の「あるがままのアート-人知れず表現し続ける者たち-」展(〜2020年9月6日、入場無料※要事前予約)を観てきました。
美術でも音楽でも、アーティストでも小説家でも、知らず知らずのうちに「名前」で評価してしまい、その世界に触れるか触れないかを判断しがちですが、そういう固定観念に鉄槌を下される機会になりました。
こんにちは、hirokiです。
自由奔放にイマジネーションを解き放つアーティストの展覧会について、今日は振り返ります。
展示室にはいわゆる社会的弱者や障害のあるアーティストたち総勢25人、約200点の作品が展示されています。
好きで創作している人もいれば、高ぶる感情の発露として製作に取り組む人、作品づくりが日常のルーティーンになっている人、さまざまです。
そのどれもが独創的で、陳腐ですが「どうしてこういう発想が」という作品ばかり。
自分が知っているアートとは、アーティストごとの作風があって、ある程度のカテゴリー……たとえば現代美術とかシュルレアリスムとか印象派とか、ひとつの枠内で括る傾向があります。
この展覧会に出品しているアーティストは無名であるがゆえに、作品のどれもが規格外なのですよね。
「芸術は爆発だ」ならぬ「芸術は大爆発だ」なのですよ、それがまたいい。
個人的にいちばん気に入ったのは、第2展示室の後半にあった、古久保憲満さんの
「3つのパノラマパーク
360度パノラマの世界「観覧車、リニアモーターカー、ビル群、昔現末、鉄道ブリッジ、郊外の街、先住民天然資源のある開発中の町」
という作品。
公式サイトに若干のヒントがありますが、これは生でぜひ観てほしい。
「A列車で行こう」をより細密に、壮大にしたかのような超大判の作品です。
アーティスト古久保さんがイメージする巨大でカオスで、何より楽しい街が延々とキャンバスに表現されています。
ぼくは幼いころスケッチブックか何かの白紙に、ひたすら「迷路」を描くクセがあったのですが……この超大作を目の当たりにして、そんな個人的な記憶が呼び覚まされました。
この展覧会ではまた、「ロボ鑑賞会」という試みが行われています。
遠隔操作ロボットを駆使し、誰もがどこにいても展示作品を見ることができるというもの。
ロボットには1台に美術館スタッフが1名付いて、ロボットの鑑賞者をアシスト。
ニューノーマル時代の鑑賞法として、こうした先進的なトライアルが結実するのでしょうか?
美術展も設備投資がかさむ一方だなと思いますが、この展覧会は驚くべきことに入場無料。
主催のNHKとしては「受信料還元策として安いもの」なんでしょうかね、さすがです。