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【戯曲】ソポクレス『オイディプス王』:人間の愚かさを晒す名作古典

ソポクレス『オイディプス王』

この本から得た教訓としては「地獄への道は善意で舗装されている」のであり、また「人間万事塞翁が馬」でもあり、そして「知らぬが仏」ということ。
前者ふたつは自分でコントロールできないけれど、3番目の「知らぬが仏」は自分で選べる道。あえて探索しないのは立派な自律です。

が、そうはいっても知らずにおられない、首を突っ込まずにいられないのが人間の悲しい性。
前430年ごろに書かれたといわれるソポクレスの『オイディプス王』(1967年初版、藤沢令夫訳、岩波文庫)はあまりにも有名なギリシャ悲劇ですが、その見事な構成は今日に至るエンタメ作品の礎だと実感させられます。

テバイの王オイディプスが自らの出自を知って絶望し、破滅する物語。
自らの子に殺されるという預言に恐れおののいたテバイの王ライオスから、この乳飲み子を殺すようにと預かった羊飼いは不憫に思った挙げ句、山に捨てる。
その子を拾ったコリントスの王は、オイディプス(腫れた足)と名付け立派に育て上げる。

これを機に真相が徐々に明らかにされ、父ライオス殺害、実の母親イオカステとの近親相姦、イオカステの縊死といった悲劇がオイディプスを襲います。
英雄が一転して恐るべき真相にたどり着き、それによって運命が逆転してしまう軌跡。
しかもそれは誰のせいでもない、周りの制止を振り切ってまで真相追及に拘泥した自分自身が起こしたものであるということ。

「怖いもの見たさ」「嫌な予感」「虫の知らせ」といったものは、当たるときは当たってしまうもので、それを自制できないものまた人間。
オイディプスは思い込みが激しい確証バイアスの持ち主のように見えますが、心の奥底では自分の出自としでかしたことを本能で嗅ぎ分けていたのでは、とも感じるのです。
途中そういう予兆やアラートが何度も出てくるのに、わざわざ崖のほうに足を踏み入れてしまい、ついには道を踏み外す。
偶然の繰り返しでありながらも、その道を選ばされ、選んだのはほかでもない自分である、と。

「主人公が自分の目玉を刺してしまう悲劇」くらいの知識しかなく、初めて文庫本を読んでみました。
普遍の型とは何か、いろんな創作でふと『オイディプス王』を感じる瞬間があるのでしょうね。

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