クライヌリッシュ蒸溜所のウェアハウスに、2019年にバイセンテナリーとしてスペシャルリリースされる(であろう)ブローラ6樽を発見。新鋭ウルフバーンはぜひ行ってみたかったところでした。
クライヌリッシュは、ウェアハウスだけは内部の撮影禁止でした(ドアの外からであればOK)。アイキャッチ写真、ダンネージ式倉庫下の樽がそれです。かなり見えにくいですが、「2019」のプレートが貼られています。
面白い話がひとつ。このクライヌリッシュのウェアハウスに、ブローラの樽は2つのみ。災害等万一のリカバリーとして、ディアジオの系列の蒸留所に樽を分散所有させているそう。どの蒸留所に何本割り当てられているかはシークレット。ガイドしてくれたデイジーさんも「知らない」と首を振っていました。
2番目の訪問地はプルトニー。蒸留所のあるこの地はニシン漁で栄えた街です。案内してくれたのはディスティラリー・マネジャーのマルコム・ワーリングさん。昨年すべて入れ替えたというウォッシュバックが光彩を放っていました。
5棟のウェアハウスには24,000樽が貯蔵されているそう。今日の世界的なウィスキー人気の後押しもあるでしょうけど、なぜか日本ではあまり見かけない気がします。
グレンモーレンジに続き、ウェアハウスでのテイスティングです。このシチュエーション、すんごいおもてなしですね。というか、マルコムさんは心底自社製品を愛し、根っから優しいんだろうな。アイテムは12年、17年、21年の3種を用意してくださっていました。
12年
バーボンカスク熟成。シトラス系。味は海風に由来する塩辛さ。
17年
46%ノンチル。14年をアメリカンホワイトオークのバーボンカスクで、3年をヨーロピアンオークのオロロソシェリーカスクで熟成。12年の特徴に加えて、クローブ、スパイス。ナッティー。プルーン、チョコレートなど。
21年
これがベリーグッド。さらにリッチ。
プルトニー、個人的には印象が薄かったのですが、深い愛情と熱意によって生み出されるウィスキーなのだと実感しました。
3つ目の訪問はウルフバーン。楽しみにしていた蒸溜所です。オーナーのアンドリュー・トンプソンさんが普段仕事している南アから駆けつけ、自ら説明してくれました。なんでも、ウルフバーンを訪ねた日本人は我々が最初だそうです。
「機械はモダンだが、すべて手づくりで生産しているのが強み」とアンドリューさんは胸を張ります。150年前にクローズした蒸留所を、2013年にリオープンした情熱。「手づくり」や「長期の修業」が否定される世の流れですが、手間暇を厭わずにできないし、語れないのがウィスキー。もちろん品質と値段はシビアに見るべきですが、蒸留所や造り手ごとのストーリーをぼくは肯定的に聞きたい。そのヒストリーやカルチャーもすべてが反映されての商品なのだから。
アランラドック製のモルトミル、フォーサイス製のマッシュタンやポットスチルがピカピカで、内部も今回見てきた蒸溜所の中で最も清潔でした。おそらく几帳面であろうオーナーの姿勢を垣間見た感じです。
ダンネージ式のウェアハウスもフルオープンで見せてくれました。温度を一定に保つため、地面は砂利、壁のペンキの色まで統一しているそうです。樽もさまざまな大きさを試しているそうで、進取の精神がうかがえました。
テイスティングは4年のほか、ニューメイクとカスクストレングスも。ハンドボトリングした蒸溜所限定ボトルに、オーナーがサインも入れてくれる一幕も。素晴らしい体験でした。
インバネスからブローラ、ウィック、サーソーへ。転々と移動し、その後フェリーでさらに北のオークニー諸島メインランド島に渡りました。これから2日間ストロムネスに滞在します。