英国発のゴシックホラー『ウーマン・イン・ブラック〜黒い服の女〜』観劇(2024年6月15日18時公演/PARCO劇場)。
ホラー要素よりも、悲しさと理不尽さにやられました。
あらすじ
ある若い俳優のもとにやってきた中年の弁護士キップス。彼は自分が体験した忌まわしい出来事を本にまとめ、これを家族に聞かせてケリをつけたいという。
俳優はそれを劇作化して、誰もいない劇場で芝居を進めていく。俳優は若き日のキップスを、弁護士は彼が出会った人々を演じる。
キップスは素人だがセリフ覚えもよく、俳優はそののめり込みぶりに驚くほど。劇の中盤、2人の前に奇妙な格好をした女が現れるーー。
劇中劇形式が恐怖を増福
ポイントは劇中劇の形式で物語が進むこと。回想していくごとに、観客である我々は、主人公同様の恐怖体験を強いられます。
本当の怖さとは怪談のようなものではない。そういう旨のセリフを絞り出す勝村政信のオールドキップス。怖さなど意に介さず、忠実にキップスの体験を再現していくヤングキップス役の向井理。
劇中劇の体裁ゆえ、役から現実世界から戻り、我に返ったとき……これ以上は言えません。
まとめ
本作は日本で8度目の上演。個人的に前々回08年の斎藤晴彦&上川隆也で観て以来の観劇でした。
ディテールをすっかり忘れてしまい、覚えているのは最小限のセットと演技で見せる馬車の移動シーンと、エンディング。
今回そのエンディングはじめ、いくつかの場面で以前と比べて演出が変わっているような……。気のせい?
今回のほうが圧倒的に怖く感じましたね。