宝塚歌劇星組公演『エル・アルコン-鷹-』『Ray-星の光線-』を観てきました(〜2020年11月28日、梅田芸術劇場メインホール)。
こんにちは、hirokiです。
今日は個人的に久しぶりの梅田芸術劇場での観劇記を少し(少し書き足し、修正しました)。
『エル・アルコン-鷹-』は青池保子さんによる同名少女漫画(秋田書店)を原作に、宝塚歌劇が翻案した活劇。
少女漫画に疎いぼくは、例によって原作をいっさい読まずに鑑賞しました。
2007年にトップスター安蘭けいさんの星組が初演し、それ以来の再演。
礼真琴さんがトップスターとなった今、歌唱力抜群の彼女に相応しい演目でしょう。
礼真琴さん演じる主人公のティリアン・パーシモンは、七つの海を制覇する野望を胸に、邪魔者を次々に始末していく英海軍士官。
ティリアンの謀略で親を殺され海賊になったレッド(愛月ひかる)や、フランスの女海賊ギルダ(舞空瞳)との駆け引きなどがドラマティックな音楽とともに描かれます。
まずは冒頭の主題曲、これが良くてね。
礼さんの歌唱は力を入れるでもなく、弛緩するでもなく。
タイトルを朗々と礼さんが歌う間に、登場人物がタイトルバック的に紹介されるこのプロローグから引き込まれます。
大劇場トップスターお披露目から2作目となる礼さんは、前作『眩耀の谷』とは一転、ワルの魅力で迫ってきます。
礼さんは声が低いので、こういうダークな役柄も意外にハマってしまうんですね。
びっくりするくらい安蘭けいさんと声、雰囲気まで似ているのは、敢えてリスペクトを込めて初演に寄せてきたのか……?
彼女が演じるティリアンはいつまでも見ていたい、妖しく危険な香りのする孤高の男なのです。
おかしいなぁ、少し前まではこういう役は似合わなかったはずなのに、憎らしいくらいモノにしていますね。
とにかくかっこいい。
歌だけではありません。
もともと運動神経抜群なのは想像に難くなく、殺陣のアクションなどは動きが速い、速い。
後半のショー『Ray-星の光線-』は、大枠はそのまま大劇場公演を踏襲しています。
が、一部曲目や歌い手が変更され、なかでも最後のデュエットダンスでは「星に願いを」を新たに採用。
振付も複雑になっているように見えますが、礼さんと相手役の舞空瞳さんが演じると、どんな難しい歌も振付も簡単そうにやってのけるので、ありがたみが……。
なんでもできる演者というのは、ときに「すげぇだろ」的に、あえて難しくこなしてるように見せるのも必要ではないかな。
それほどまでに礼さんと、彼女に付いている舞空さんは軽々と完璧にこなしています。
もともと「腕におぼえあり」なコンビとはいえ、もちろん血の滲むような努力あればこそですが……そう感じさせないんですよ。
前回の大劇場公演の『Ray-星の光線-』フィナーレの黒燕尾で、センターの礼さんを初めて、そして問答無用に「かっこいい」と思ったんですよね。
それまでは魅力的な人という感覚なのですが、男役として立ったという瞬間を見ました。
なによりも統率がとれていて、フリが全員揃っているのには感嘆しました(それまではワリと星組のダンスは”自由”でしたよね)。
それにしても短期間の公演でホントに貴重だし、もったいない。
大劇場お披露目の前作から次回作『ロミオとジュリエット』にかけて、陰影が濃い役が続きますね。
個人的には彼女の「陽の持ち味」を生かした、スカッとする作品に出てほしいのですが……まぁ、役柄を広げるために通る道なのかもしれませんね。