ひとことで言えば、行き過ぎた健康志向に警鐘を鳴らす話であり、神の領域を操作しかねない行いの是非を問う物語です。
ベジタリアンの人気料理家にインタビュー取材したライター。その料理家は肌ツヤも良く健康に見えるが、自称122歳という。半信半疑のライターに対し、料理家は自分が何を身体の中に取り入れているのか、告白し始める。
イキウメの『天の敵』大阪公演初日を観てきました(10月8日13時開演、本多劇場)。
料理家はいったい口から何を摂取しているのか。
それを言うとネタバレですが、本作は再演であり、メディアの劇評には普通に掲載されているので興味あれば調べてください。
ベジタリアンとかマクロビとかビーガンとか。
ともすればファッションや流行で語られがちな食の違和感。
健康でいたい、健康になりたいのは大抵の人が願うものですが、それを追求した成れの果ては?
『天の敵』の料理家は、とにかく「あるもの」を摂取することで食欲を満たしています。
そういう生活が当たり前になると、最終的に何のために生きているのか分からなくなる。
身体に良い、深刻な病気も治癒した、そんな魔法のような食事が成り立つとして、それで本当に自分は幸福なのか。
実は開幕2日目・2公演目(9月17日18時、本多劇場)に続き、2回目の観劇でして。
健康のため、医学研究のため、ウェルネスのため、倫理と好奇心と学究の狭間ってやつを考えさせられました。