日本橋三井ホールで行われた「COREDO落語会」に行ってきました(2020年12月13日)。
山本益博さんが席亭を務める落語会で、今回で24回目。
この日は春風亭一之輔、桃月庵白酒、柳家さん喬、柳家権太楼の皆さんが出演。
ネタ出しと知らずに行き、会場のポスターで知りました。
雛鍔 一之輔
寝床 白酒
休憩
棒鱈 さん喬
鼠穴 権太楼
白酒さん以外、生で聴くのがコロナ前以来。
久しぶりに見る一之輔さんは少し痩せた印象ですが、高座はいつも通り絶好調。
一之輔さんの演じる子どもは、ヤンチャこにくらしくも愛らしい。
「雛鍔」は世間ズレしてない殿様の子どもの高貴さを真似た金坊が、大家に小芝居して小遣いをせしめようとする話。
一之輔さんがこのネタを持っていたのは、意外なようで納得です。
白酒さんの寝床はサービスたっぷりの一席。
カラオケで失恋ソングを歌う人たちをディスるまくらから、下手くそな主人の義太夫を「流れ弾に当たる」とたとえ、這いつくばる店子や従業員の悪戦苦闘が可笑しい。
さん喬さんの「棒鱈」を見ていて思ったのは、秀逸な一人芝居を見ているようだったこと。
座敷で田舎侍を相手にするお女中さん、隣の座式で田舎侍の歌をこき下ろす酔っぱらいの熊五郎、それを嗜める寅吉と、短い時間に登場人物がごった返すのですが、人物造形が見事にバラバラでそれらの転換に違和感がない。
そう、この人は柳家喬太郎さんの師匠だと思い出し、深く納得したのでした。
「鼠穴」の後半の残酷さは夢落ちと知らなければかなり疲弊する展開ですが、権太楼さんは最後の最後で聴き手の肩の力を抜かせる演出。
山本益博さんによると、権太楼さんは昨年この「鼠穴」をネタおろししたばかりだそうで(!)、とてもそうは思えない迫力。
人情噺のイメージ強い、さん喬さんも個人的に「棒鱈」がお好きということで、今回のネタ出しに繋がったのだとか。
素晴らしく、そして濃ゆい4時間弱でした。
ところで、ここからは客に対して少し苦言。
大ネタを聴かせてくれるホール落語は良いのですが、この会場に限らず、客の中で老人=特に爺さんのマナーが酷い。
分散退場の列に割り込む、ソーシャルディスタンスで設置された椅子をなぎ倒して退場する、咳を平気でする、などなど。
そんなんだから「老害」と鼻つまみにされるのに、本人は分からんのだろうなぁ。
昨今のコロナ禍でも若者ばかり悪者にされる傾向がありますが、むしろ真逆で(一部の)ジジイこそ害悪。
さっさと人生の幕を閉じてもらいたいと思いつつ、そして「ああはなるまい」と自戒するアラフィフです。