アフィリエイト広告を利用しています。

末廣亭の喬太郎・文蔵二人会、濃い面子と演目に大興奮。

喬太郎・文蔵二人会

2022年5月31日、新宿末廣亭余一会・夜の部『喬太郎・文蔵二人会』観てきました。
内容も演者も濃すぎて堪らない。
終演後にこんなに興奮したのは久しぶり、最高でした。

犬の目 春風亭枝次
権助提灯 橘家文吾
講談「生か死か」 田辺いちか
ちりとてちん 橘家文蔵
江戸川乱歩作「赤い部屋」 柳家喬太郎
仲入り
対談 喬太郎✕文蔵
ウルトラ仲蔵 柳家喬太郎
歌ネタ マキタスポーツ
松本清張作『左の腕』より「飴売り卯助」 橘家文蔵

喬太郎さんの『赤い部屋』、文蔵さんの「飴売り卯助」、どちらもどうしても聴きたくて馳せ参じた甲斐がありました。
『赤い部屋』は乱歩作の改変。
喬太郎さんは劇中劇かつ、よりいっそうダークな趣にアレンジし、原作の主人公はベテランの噺家に置き換えられています。

旦那衆の退屈しのぎに招かれたお座敷で(導入は『あくび指南』を演じるところから!)落語を披露する噺家。
刺激を欲する旦那たちに、噺家は自分が退屈しのぎにしているという、「犯行の仕業がバレない完全犯罪=プロバビリティの犯罪」の独白を始める――。

詳細は省きますが(ググってください)、気味悪さと一人芝居で喬太郎さんの独壇場。
喬太郎さんは怪談もお手のものですが、本作からは乱歩に最大限リスペクトしたモダーンなスリラーという趣向を感じました。
最後までゾクゾク身震いしながら集中し、クライマックスの演技にもドキッ。

清張作『飴売り卯助』は、元盗賊の凄み、緊張と笑いの緩急がまさに文蔵さん。
個人的には林家正雀さんの鈴本演芸場主任公演でネタ出しをしていたときに観て、強く印象に残った作品です。

文蔵さんは低い声であえて演じて客に高座に集中させるがゆえ、ここぞの啖呵が凄みを帯びます。
でも、最もツボにハマったのが、引き戸を開けるときの心張りを外す仕草でした。
微に入り細を穿つんですよね、文蔵さんは。

この『飴売り卯助』って話は、個人的にはマイケル・マンの監督デビュー作『ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー』(1981年、原題:Thief)を思い出させるんですよ。
盗人が自分の人生を清算すべく、筋を通すハードボイルドで、結末も似てます。
凄腕の仕事人でプロフェッショナルなのに、うまくいかない。
切ないというか、虚しさが募るストーリーが大好きで、如何ともしがたし。

喬太郎さんも文蔵さんも、どちらも「演者にドンピシャな」演目で、シビれました。

この日、出だしの前座・枝次さん(百栄さんの弟子)から、高座はアクセル全開といった様相。
文吾さんは師匠・文蔵さんに雰囲気が似ていて、でも捲し立てるスピード感は今的。
末廣亭初登場という田辺いちかさんの講談に泣かされ、後半のマキタスポーツさんの器用なギター漫談に大笑いし、ジェットコースターのような3時間半でした。
桟敷(今回は左桟敷)から見る高座は、噺家と目線が同じなのでうれしいんだけど、長時間の体育座りは坐骨神経痛になるかというくらいキツいw
でも良いのです、雰囲気まで楽しめるのが末廣亭ですから。

喬太郎・文蔵二人会のプログラム

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性