ミュージカル『レベッカ』、涼風真世さんのダンヴァース夫人にしびれる。

2019年1月19日ソワレ、シアタークリエで上演中のミュージカル『レベッカ』(~2019年2月5日、日比谷シアタークリエ)、念願の初見でした。

ブロードウェイ・ミュージカルをハジけた陽とするなら、ウイーン・ミュージカルは陰の魅力。曲調はダークで内省的。この『レベッカ』や『エリザベート』のような作品は、日本では受けるけど、おそらく北米で興行したら真逆、まったく受けないかもしれない。メンタリティが逆だもんね。

ひたすら個性を押し出し、周りを蹴散らしというアメリカ人的な気質ではなく。周りを尊重し、自分の(不幸ともいえる)境遇を受け入れ、その結果「運命の人」に出会ってハッピーエンドかと思いきや、さらにその先に試練があり、それを乗り越えていく。特に日本の女性がこういうストーリーに共感し、あるいは自分の境遇と照合させる。そうせずにいられない何かが、ウイーン・ミュージカルにはある気がするんですよね。

この『レベッカ』は、英国の女性作家デュ・モーリアの同名小説を原作に、『エリザベート』や『モーツァルト!』のクンツェ(脚本/作詞)&リーヴァイ(音楽/編曲)のおなじみコンビによる共同製作。2006年にウィーンのライムント劇場で初演。日本初演は2008年。今回3度目の再演だそうです。

英国郊外マンダレイ。貴族マキシム(山口祐一郎)の邸宅では、その夫人だったレベッカを幼少時から世話してきた家政婦頭ダンヴァース夫人(涼風真世/保坂千寿のダブルキャスト)が、レベッカ亡き後も君臨していた。未だレベッカを崇拝するダンヴァース夫人は、後妻として入ってきた「わたし」(大塚千広/平野綾/桜井玲香のトリプルキャスト)を認めず、狂気に満ちた言動で彼女を追い詰めていく――。

前置きが長くなりましたが、ひとこと。これは実質、涼風真世さんの主演舞台だということ。あのドラマティックで美しいタイトル曲『レベッカ』を聴き惚れない客はいないでしょう。実際、観客の拍手の大きさが半端ない。この曲をライブで聴けるだけで、料金の価値はあるのでは。

ホラーチックな恐ろしさもありながら切なく、狂気でありながらクール。

マキシムと「わたし」のラブストーリーがストーリーの縦軸にあるのだけど、その実をなすのはMrs.ダンヴァースの狂気なんですよね。涼風さんが舞台に登場するだけで温度が下がる感じというか、とにかく怖い。それなのにかっこいい。

平野綾さんの「わたし」はキュートでまとも。涼風さんとともに歌い上げる場面は大変だったと思います。石川禅さん、吉野圭吾さんなどの『レディ・ベス』組、森公美子さんのコメディエンヌぶりなど助演の役者の好演もよかった。

褒めるしかない舞台。もう1回、観に行きたくなりました。

2019年シアタークリエ、ミュージカル『レベッカ』

ミュージカル『レベッカ』涼風真世&平野綾

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hiroki

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紙もウェブもやる編集者 / ライター / ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート / SMWS会員 / 訪問したBAR国内外合わせて100軒超 / 会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年) / ひとり歩き / 酔っぱらわない酒活 / ブログは原則毎日更新750記事超(2019年2月現在)/ ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性