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イキウメ『奇ッ怪』:古(いにしえ)の怪談を今の世界に忍ばせる

イキウメ『奇ッ怪』(2024年)

2024年は小泉八雲没後120年の節目で、いくつか記念行事が開かれている模様です。
洋の東西を問わず古典をSFホラーに自在に翻案する前川知大さん率いるイキウメの新作『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』(2024年8月9日〜同年9月1日、東京芸術劇場シアターイースト/9月5日〜9月8日、ABCホール)も、奇しくも八雲作品を題材にしています。
ネタバレなしで振り返ります(2024年8月24日18時回鑑賞)。

『奇ッ怪』あらすじ

消えた死体の謎を追って山奥の宿にやってきた警察官の田神(安井順平)と検視官の宮地(盛隆二)。宿には事件のカギを握るらしき長逗留の小説家・黒澤(浜田信也)がいた。

この3人の駆け引きに、小泉八雲の『破られた約束』『茶碗の中』『常識』『お貞のはなし』などの怪談が接続する。

八雲作品との並行世界?

回廊と中庭。老舗旅館のロビーを模したような舞台美術で、これで全編が展開。休憩なしの一幕もので、ほぼ出ずっぱりの俳優もいます。

イキウメはストーリー運びが上手いなぁと毎回感心させられますが、今回もさらに削ぎ落としてコトが運びます。

客や旅館の仲居さんが、怪談や不思議な物語を持ち寄るのですが、それが小説家と警察関係者とのやり取りに巧みに混じり込む。
場面転換をせずに地続きで今昔を行ったり来たりさせる。それがまた不自然でなく、並行世界(パラレルワールド)を見せられているかのような錯覚にも似た感覚に襲われました。

まさかの三遊亭圓朝ものが

……というと、八雲ツウの人にはわかってしまいますよね。劇中、『牡丹灯籠』の「お露新三郎」の芝居がかかったのには驚き。八雲はこれを翻訳、再話していたと後から知りました。
その演出もまた見事で、三途の川をああいう形で表現するとは思わなんだ。ラストもよかった。

まとめ

いま最も見るべき演劇集団として推すイキウメ。毎年2回はプロデュース公演含めてコンスタントに新作をかけています。
そのどれもが当たり。こんなに新作が楽しみな劇団は他にありません。
次回作を静かに待ちます。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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