東京都美術館が2017年から行っているシリーズ展覧会「上野アーティストプロジェクト」の第5弾「Everyday Life:わたしは生まれなおしている」に行ってきました(〜2022年1月6日)。
2021年は桂ゆき、川村紗耶佳、貴田洋子、小曽川瑠那、常盤とよ子、丸木スマという女性アーティスト6人の作品を紹介するもの。
桂ゆきは日本の抽象・前衛女性作家のパイオニアで、コルクや新聞紙を用いたコラージュで知られています。
どちらかといえば風刺性よりも、ユーモラスで愛らしさすらを覚える作品。
幾重にも解釈できる表現で、何度見ても見飽きない魅力があります。
横浜の戦後を写した写真家・常盤とよ子の展示は、赤線地帯の女性を一瞬をとらえたゼラチンシルバープリントの写真群。
寄り添うでもなく、突き放すでもなくの客観性が感じられるもので、見ていてどこか居心地の悪さが。
それこそが写真の意図するものなのかもしれません。
現役作家で印象に残ったのは、貴田洋子による津軽こぎん刺し、小曽川瑠那のガラス工芸(冒頭写真もそのひとつ)など。
貴田さんの「こぎん刺し」は美術というよりは民藝のような温かみがあります。
小曽川さんの作品は、静謐でどこか儚げ、部屋のしつらいにあったら安らぐだろうな透明さがたまらない。
本展で個人的に最も気に入りました。
美術展というと好きなアーティストや企画性ばかりに目が行きがちですが、あまり縁がない人の作品に触れるのも新鮮な発見があります。
アンテナを張っていないと難しいかもしれませんが、先入観なく触れていきたいものです。