東京・文京区の弥生美術館で開かれている「谷崎潤一郎をめぐる人々と着物」展(〜2022年1月23日)に行ってきました。
谷崎の小説のモデルになった人々が身に着けた着物や装飾が展示されています。
最も目を引いたのが、アンティーク着物で再現された、小説の登場人物の装い。
派手派手どころか、今見てもモダンを超越してアバンギャルド。
写真撮影不可ですので画像はありませんが、人物の個性や内面を表したかのような帯や身頃のデザインを実際に目にすると、人物が想像しやすくなります。
小説の一コマから、着物の表現でキャラを表す谷崎の強いこだわりがわかります。
谷崎のフェチズムは着物にも反映されているだなぁ、と。
本展で垣間見る谷崎本人のプライベート人となりは、作品を地で行く女性崇拝的なもの。
3度の結婚歴はもとより、最初の妻・千代が良妻賢母型だったことで不満を抱き、悪女型である千代の妹・せい子を好きになるとか、小田原事件(佐藤春夫に妻を譲る意思を示すも撤回)とか、理解の範囲を軽く越えます。
ある意味、どこかネジが飛んでいる感じだからこそ、キテる作品が描けたんでしょうね……とまとめるしかないオチ。
併設された竹久夢二美術館では「30のキーワードでひもとく竹久夢二展」を開催中です(開催期間は同じ)。
夢二もまた女性にモテモテの男性ですが、その作品は何かこう切なさやしおらしさなどもあって、観ていてホッとするんですよね。
恩地孝四郎との手紙(はがき)のやり取りなどは、センスの塊のようであり、内容の朴訥さといい、繰り返し見たくなるものがあります。