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国鉄時代の鉄道ファン必見。トレインマークの生みの親、黒岩保美さんの功績をたどる。

没後20年 工業デザイナー 黒岩保美展

河井寛次郎展に足を運ぶ途中で、「お!」という展覧会を見つけ、帰りに寄り道しました。『没後20年 工業デザイナー 黒岩保美』展(~2018年10月14日、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室)です。小規模ですが内容は充実、しかも入場無料。いやぁ素晴らしかった。電車、蒸気機関車の種類を問わず、東京を走っていた鉄道に思いをめぐらせる機会となる展覧会です。

黒岩保美(くろいわ・やすよし)さんは旧国鉄の車両設計事務所のインハウスデザイナーで、下記を手がけた人だそうです。

  • トレインマーク(ヘッドマーク、テールマーク)のデザイン
  • グリーン車のシンボルマークのデザイン
  • フォントの図面化
  • 車体配色・色彩試案の作成
  • 車内設備のトリセツ
  • 新型車両の完成予想図

ほかにも絵画・写真、書籍の編集などマルチな才能を発揮した方です。こんな才能豊かで、先進的な人が国鉄内にいたという事実が面白い。

鉄道写真や乗り継ぎ旅、国鉄のブルートレイン(寝台特急)やエル特急のヘッドマークにワクワクした人、チャレンジ20,000㎞といった言葉に反応する人は、この企画展はニヤリとしてしまうことでしょう。

あけぼの、日本海、瀬戸、出雲、はくつる、富士、彗星……。この展覧会が興味深いのは、これらのヘッドマークのデザイン画、特急電車の車体塗装の採用案だけでなく、残念ながら不採用=ボツとなった図案も見せてくれること。

たとえば上野→青森間を結んだ寝台特急「ゆうづる」。黒岩さんがいちばん気に入っていたヘッドマークデザインは「鶴が2羽飛んでいる姿」ですが、実際に採用されたのは「鶴が1羽」のデザイン。これは推測ですが、遠目で見ても視認されやすいようにという配慮だったのではないでしょうか。それが証拠に、他の「つばめ」も「はと」も「出雲」も、鳥や雲が複数展開されているデザインは不採用となっています。

現在も使用されているのはグリーン車の、あの四つ葉のデザイン。あれも誰が見てもパッと見で分かりますものね。

車両壁面に横に記された「モクサイロ 012345678」なんて図案は、ファンが見たら感涙してしまうのではないでしょうか。ほんと、書き文字のデザイン、たまらなくすてき!

1921年(大正11年)生まれの黒岩さんは、生家が日本橋富沢町の悉皆屋さん。幼いころから鉄道好きで、その次に絵も好きだったそうです。一人で鉄道博物館に通い、機関車の写真をスケッチしたり、鉄道雑誌を読み漁ったりする中学時代。民間の鉄道研究会「つばめクラブ」で趣味人たちの知遇を得た高校時代。そんなふうに鉄道に入り浸る黒岩さんを見かねて、父親の勧めで習った日本画で、1940年の第2回日本画院展に入選(この「機関車」って絵も展示されてます。力強くて写実的で素晴らしい)。

その画力が国鉄の鉄道技師の目に留まり、嘱託職員となって手腕を発揮。1949年についに正式に入社して、上で挙げたような仕事をしていくわけですね。

人とのつながりと才能。黒岩さんのストーリーは、そのお手本を見ているかのようです。しかも幼いうちから、それを発揮し、周囲にも認められていた。ほんとうに好きで没頭しているのであれば、やはり「その道」を進路として選んでいいのでしょうね。こんな素晴らしい人とその物語、今ごろになって初めて知りました。

内部は完全撮影禁止ですが、図録が500円という安さだったので、おみやげに買いました。10月までやっているので、また行きたいですね。

「没後20年 工業デザイナー 黒岩保美展」旧新橋停車場 鉄道歴史展示室

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