ラジオが長く支持されるのは、さびしさの裏返しゆえ。

もう1年以上前から言われていますが、ラジオの聴取率が上がっているそうです。
とくに若い世代のリスナーが急増しているらしい。
テレワークに象徴される生活の変化が影響しているのは間違いありません。

ついこないだまで、ラジオはオワコンだの言われていたのに。
なぜ盛り返したのか。

会話に飢えているんですよ、たぶん皆。
それを日常で支えているラジオって、尊いね。

テレビつけてりゃいいじゃん?
違うね。
テレビはマスの最上位。
あまたの平民に向けたメディアで、会話にはなってない。
遠巻きの娯楽なのです。

ラジオはもっとクローズド。
公の電波でありながら、「あなたとわたし」のようなコミュニケーションを意識させるわけです。
お便りを読んだり、お悩み相談があったり、ここだけの裏話があったり。

なにしろ映像がない世界です。
想像力ある人間は、お便りを送ってきた人の「今、何してる」「こんなことがあった」「今これを食べてる」みたいな、リスナーのひとコマと同時に、これを喋っているスタジオのパーソナリティを思い浮かべながら聴く。

とかく絵ヅラが先に来て、目まぐるしく画面がスイッチされるテレビでこういうことはない……というか、できない。

ラジオには今や絶滅危惧種となった「お手紙文化」を彷彿させるものが残っているのです。
リスナーが「あ、これ自分のことだ」と声を通して思わせる親近感があるのです。

だから年代別では中高年のリスナーが最も多いのは当然で、それが若い世代に飛び火するのはむしろ自然なこと。

若い時分に、夜ふと寂しくなったとき、ラジオをつけてスピーカーから聴こえてくる声にホッとしたことがある身としては、この電波文化はずっと残ってほしいなぁと思うのです。

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