宝塚歌劇星組公演『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』を観てきました(2023年3月25日/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)。
やはり礼真琴
高潔な野望を秘めた青年ジュリアン役の礼真琴さん、これほど内省的なキャラが板につくトップも珍しい。
礼さんはルックスだけなら陽キャなんだけど、あの低音で台詞を口にした途端、観客はジュリアンが葛藤と渇望を抱えた青年というキャラクターと判るのだから。礼真琴=ソング&ダンスの二刀流のイメージだけど、この人は演技の引き出しもあるのですよ。
劇的でコードも複雑ながら、難曲でこそ礼さん本領発揮の独壇場。高・低音も巧み自在でのびのび、聴いていて楽しいんですよね。
物語と厚みのあるキャスト勢がマッチ
ジュリアンは物静かな秀才ながら、大工の息子という出自を見くびるブルジョアには時折ナイフのような鋭さを隠しきれない。今にも砕けそうな感性の持ち主の青年を周りが放っておくはずがなく、人妻ルイーズ(有沙瞳)と不倫関係に。その後、出世して出会った令嬢マチルド(詩ちづる)と恋に落ちるが……。
若手とベテランが縦横に舞台を駆け抜け、舞空瞳さん、瀬央ゆりあさんがいないだけで、大劇場公演と変わらない勢い。トップスターの存在の大きさに目を奪われがちですが、実は星組はタレント揃いなんですよね。
礼真琴と双璧を成す暁千星
ダンスでもキレキレな礼真琴さんですが、月組から暁千星さんが加入してからは、役割分担するかのように。完全に俺得なワンツーコンビを生で観るのはまだ2作目ですが、正直ここまで暁さんに魅きつけられるとは思いも寄らず。とにかく輝きが違う。
本作で暁さんはジュリアンの友人ジェロニモという、物語の狂言回し的な役どころ。葛藤するジュリアンに近すぎず遠すぎず、俯瞰的に評伝を語り継ぐような存在です。狂言回しにして役が陽キャ、これを暁さんが演じる。恐ろしいほどブリリアント!
まとめ
今回衣装も装置も洒脱で流麗。スタンダールの洒脱な古典を今的に仕上げた谷貴矢さんのような演出家、もっと出てきてほしいなぁ。正直、宝塚は先生方こそ新陳代謝が必要なのだが。
この日は行って初めてライビュの回と知りました。このキラキラは画面やスクリーンには収まらぬ。礼真琴と暁千星という、とんでもない2人がコンビを組む僥倖に感謝です。
ホワァとなりすぎて、今の今までブログ記事をUPできなかったほどよ。
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