個人的には意外でしたが、うなずけるものもあります。一之輔さんくらいの超売れっ子ともなると、本業が多忙なあまりテレビ出演などかえって邪魔になるのでは、と。
翻って、寄席や独演会など年間900もの高座ほか、ラジオレギュラーや連載もこなすハードスケジュールを押してでも引き受けるメリットは、確かにあるんですよね。
「知名度の向上」です。
大人気であり実力もお墨付きの一之輔さんほどの人でも、その定評は落語ファンの中でしかない。
21人抜きの真打ち抜擢とか、チケットが取れない噺家とか、そういう枕詞を持ってしても、落語を知らない人からすれば「誰?」
ご本人も以前そのことはまくらにしていたくらいで、自身のさらなる顔売りとなると、『笑点』はこれ以上ないフィールドなわけです。
どうなんでしょう? ずっと出演し続けるのでしょうか。
たとえば「3年かぎり」のように、期間限定にしたらテレビの一之輔という希少価値が付くと思うんですけどね。
まぁ正直、贔屓の噺家でなくて良かったわ。
噺家の中には、この老舗番組をばかにする人もザラにいますし、個人的には15%をコンスタントに記録する世代視聴率ほどの価値を感じないので。